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KORG Collection 5 for Mac/PC
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電子回路モデリング・テクノロジー CMT とは
コルグはシンセサイザー黎明期から2010年代に至るまで、アナログ・シンセ技術をリードしてきました。また時代を切り拓いたデジタル・シンセの草分け的なM1から、今までの流れを変えたKRONOSまで、何十年も最先端を走り続けています。2004年の KORG Legacy Collection シリーズ以来、コルグの最も重要な技術の一つである電子回路モデリング・テクノロジー CMT(Component Modeling Technology)は、この2分野の情熱の組み合わせであり、デジタル分野におけるアナログ回路の巧妙な再現技術です。
すなわち、これまでのモデリングで行われている、出音をシミュレーションする手法ではなく、オリジナル・モデルで使用していたトランジスター、コンデンサー、抵抗といった部品をデジタル化し、それらを使ってオリジナルと同じ回路をデジタル上で再構築することによって、実機のサウンドと挙動そのものを完全再現することに成功しています。
CMT はアナログ回路の基礎に対して、コルグがもつ徹底的な知識を根差した技術です。まずオリジナル・モデルの調査から始まりますが、実際の機器の測定値は回路図面の分析と組み合わせて行います。その上で、複雑な回路の相互作用から個々のダイオードのクリップ特性に至るまで、コンピュータ上の回路デザイン・システムでテストします。
このように徹底的な研究の段階を経て、ソフトウェア・モデルが作られていきます。KORG Collection ARP ODYSSEY を例にすれば、ソフトウェアのソースコード自体に実際の構成部品の数値や電圧が書かれており、オリジナルの機器と全く同じ方法で電子信号を作り出すという目的を果たしています。細部へのこだわりが、ローパス・フィルターの 3 つの異なる特性や、VCA の微細なソフト・クリッピング、正確なエンベロープの形状、ポルタメントの独特な曲線など、オリジナルの特徴すべてについて行われています。また、アナログ独特の温かく有機的な感覚に重要な要素である意外性を与えるために、反応時間の変化についても細かく調整しています。
デジタル分野における豊富な知識と経験があるため、デジタル・オーディオは根本的にアナログと違う面があることも理解しています。文字通りのアナログ回路のコピーは最良の結果を生まないことがあるからです。その理由として最も重要なのは、アナログ・オーディオの周波数範囲は理論上無限であるのに対し、デジタルの場合はサンプリング・レートの半分に限定されてしまう問題です。いくつかのアナログ設計には無限の周波数範囲に依存している部分があり、実例として、アナログ発振回路の鋭いエッジはとてつもなく高い周波数を生み出します。アナログ回路には何の問題もありませんが、デジタル領域ではエイリアス・ノイズをもたらしてしまい、望まれないサイド・バンドや明らかにアナログ的でない歪みによって音質が破壊されてしまいます。
我々はまったく新しいデジタル発振回路を設計するために、様々な技術を探求しました。コルグはワークステーションのフラッグシップ・モデル KRONOS の特色である超低エイリアシング発振回路の特許を持っています。それはオシレーターシンクでもデジタルの不自然さがなく、リッチでジッター・フリーのアナログ音を生み出し、まるで本物のアナログ・シンセのように歯切れの良い高音を保つことができる技術です。この技術を KORG Collection ARP ODYSSEY で Ring Modulation に使いました。Sync と Ring Modulation は、波形が一サンプルにおいて複数回にわたりリセットされることがあるため特に挑戦的なものでした。
CMT は数十年のアナログ、デジタル両方の分野での経験と結果であり、また両方の技術を最良の組み合わせで実現したものです。