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2023.07.14

岸利至「KORG Collection 4」レビュー

最初にKORG Poly800を購入してから、40年近くコルグのシンセを愛用しています。現在もライブやレコーディングで、KRONOS、M3などを使っていますが、同時に音源制作ではKORG Collection 4を愛用し多くの曲で使っています。そんな僕ですが、個人的な視点でKORG Collection 4のレビューをさせていただきます。

TRITON / TRITON Extreme

まず、一番使用頻度が高いのが TRITON。
実機を持っていますが、本当に再現度が高いです。ハード特有のキレと所謂「音のガッツ」に値する中域がしっかりしています。M1 / Wavestation もそうですが、実機のプリセットがそのまま入っているのが嬉しいし、さらに沢山の拡張ボードのサウンドまで入っていて、実機を購入した当時の僕からすると夢のようですね。

昔から愛用し、ソフトウェア版になった今でも使うプリセットが沢山あるのですが、特によく使うものの一つが「Dyn Orchestra1 /2」。ロックオーケストラのデモ制作には重宝します。いわゆるオーケストラの楽器全部入りパッチで、Key Zone とVelocity スイッチの割り当てにより音が切り替わるので、強奏から静かなシーンまで感覚的に曲が作れます。音質や、楽器の可動音域の知識もちろん大事ですが、細かい事を気にせずに感覚的に曲を作れるシンセパッチは本当に大事で、TRITON にはいくつもそういったプリセットがあり、またそういったプリセットはサンプリング系ソフトシンセにはあまり無いので、これからも使い続けると思います。

あとよく使うのが「Motion Synth」のカテゴリーのプリセット。作りが凝っているので、これを弾いてると曲を作りたくなってきます。これもコルグの武器の一つだと勝手に思っています。またソフトウェア版ではエディットとパッチの管理が容易になったので、凝ったプリセットであっても大胆にエディットできるようになったのも嬉しいです。

また、ギター類、パンフルートなども時々使います。生楽器のシミュレートではなく、90’s Popsのような曲の中で、クールで硬質、あえて機械的なニュアンスを付けたい時は、ハイビットサンプル系のソフトシンセではなくTRITON がいいです。

TRITON Extreme は、専用の音色が増えてるのが嬉しいし、VALVE FORCE の再現が面白いですね。こういった機能の採用、不採用は悩みますが、ソフトシンセなので楽曲制作の最後の最後に決められるのが助かります。思い切った設定もできますしね。

また、TRITON の GUI は質感がリアルで最高。ざらざら感もある(笑)

M1 V2

こちらも実機を持っていますが、再現度が高いですね。
M1 の特徴の一つに、アタック感とリバーブの抜け感があると思っていますが、見事にそれが再現されていています。大好きなプリセット「Piano 16’」「Tublar Bell」「Vibes」「Harmonica」などは、今でも頻繁に使います。これらの音色はリアルかどうかは別にしても、他にはない唯一無ニの良さがあります。クリーンかつ、ガッツがある感じです。チープジャンルではなく、メインストリームで今も使えるという事は、M1が本当に名機だったという事ですね。

またプリセットの「Pick Bass」「Soft E.P」「Choir」は、当時よく使ったので、それがいつでもまた使える状態になるのも嬉しいですね。当時少しずつ集めた、拡張カードが最初から沢山揃ってるのも嬉しいです。

WAVESTATION V2

こちらも再現性が本当に高い。実機は、Performance と Patch の管理も含め音作りが難しい面がありましたが、ソフトウェア版は使いやすいです。実機と同じ操作画面ながらも色がついてわかりやすく、また言うまでもなくカーソルが使えるので簡単に音をいじれます。加えて DAW で使えるので音色の保存が簡単なのでありがたいです。当時は本当に大変だった(笑)

音色面では Wave Sequence が楽しいですね。こちらもエディットが簡単になったので、色々なパターンがすぐに作れます。そして RANDOM 機能!これは面白いです。WAVESTATION を使う時は、特徴的な音を求めている時なので、思い通りの音が作れなかった時にRANDOM 機能を使うと思ってもみない音が生成され、またそれが面白い音になる場合が多いので最高ですね。

Prophecy

これは先輩が使っていて、いつかは使いたいと思っていたシンセ。モノフォニックという事で、どうしても購入には至らなかった。ただ、物理モデル音源というコンセプトや、音色自体は興味深かったので、KORG Collection 4 を手に入れた時にまず最初に試奏しました。オリジナルと同じくモノフォニックではあるものの、ソフトウェア版はいくつでも立ち上げられるのと、ポリフォニック化もできるので悩みがなくなりました。

音の立ち上がりや切れ方が面白いですね。このシンセ特有の Wheel3 の再現が嬉しいです!物理モデル音源は、演奏の仕方でニュアンスが大きく左右されると思うので Wheel3 は重要だと思いました。この種のシンセはなかなかないので、今後使用する事で新たなアイデアが浮かんでくる予感がします。

ARP ODYSSEY

僕は KORG ARP ODYSSEY を所有していて、音は最高なのですが、現代の作曲、アレンジワークでは、複数のプロジェクト・楽曲を制作の途中で行き来しなければならず、そうなった場合に音色をメモリーできない実機はどうしても使いづらくなってしまいます。そんな時に大いに力になるのがこのソフトウェア版です。 自分で作った ARP ODYSSEY の音を手入力でコンバートすれば、音色をしシミュレートして鳴らせるだけでなく、複数の ARP ODYSSEY をすぐに鳴らす事ができます。また同時に作った音色のパッチ・メモの役割も担ってくれるので、楽曲完成後のレコーディング本番では、スライダーの位置を本機で再現してレコーディングするという事ができます。

もちろん、実機はアナログなので独特なサウンドですが、ソフトウェア版もアナログ回路が再現されているので代役として重宝しています。

KAOSS PAD

まさかのソフトシンセ化! これもタッチパッドを縦横無尽にいじるからこそ、生楽器的な良さがあってよかった、、、と思っていたら、ソフトウェアならでは機能がありました!パッチのエディットができるんです。

実機の KAOSS PAD は、BPM、Pitch の幅位しかエディットできませんでしたが、ソフトウェアでは、エフェクトを詳細にエディットできるんです。実機では、所謂オシレーターのセクションの音にはエフェクトがついているんですが、その分量を調整したくなる時が時々あります。リバーブが多い...などそのエフェクトを調整できます。他にも色々エディットできて、しっかり音が作れるのでレコーディングに便利ですね。 またタッチパッドのコントロールをMIDIノートでもできるのも面白い。これを使うと、Stutter みたいな効果がつくれるし、エフェクト音をMIDIでメロディー演奏するなんて事ができます。これは楽しいですね。

MS-20 V2

MS-20は珍しく、LPF だけでなく HPF にも PEAK(レゾナンス)がついているので、独特な少し暴れた音が作れます。実機はモノフォニックで、LEAD、BASS、FX 系が得意技だと思いますが、ソフトウェアではポリフォニックでも使えるので、僕はこのHPFのレゾナンスを利用した少し特徴的な音を作って、ポリ・シンセとして使うことが多いですね。

そして MS-20FX でも、もちろんこの HPF のレゾナンスは使えるので過激な音作りができそうですね。やはりソフトウェアならではの音色の保存や、パラメーターを簡単にオートメーションで使えるのが便利ですね。

Polysix V2

キーアサインモード「コード」の再現が嬉しいですね。キーボードでの曲作りはつい頭だけで考えちゃったりしますが、コードメモリーを使って曲を作ると感覚で作る事になるので、理論を気にすることなく面白い曲やストラクチャーが作れます。あと、エフェクトの「Ensemble」がとてもいい感じです。 

Mono/Poly V2

Leadの音がガッシリしていて太く、また少し懐かしいフィルターの雰囲気があって素敵な音がしますね。そしてプリセットが良くできていて、特に KORG USA Bank の中には、一風変わった音も入っていて面白いです。Mono/Poly のイメージが変わりました。そしてこれも音色の保存ができるのが嬉しいですね。

MDE-X V2

細かく設定できるプロユースのエフェクターもいいですが、インスタントに迷わず簡単に使えるエフェクターも時には重宝しますね。浮かんだイメージを音にするには時間は待ってくれないので、速攻でわかりやすくエフェクトをかけたい。そんな時に MDE-X は最高です。そしてこの中にも前述のPolysix 「Ensemble」が入ってるのが嬉しいですね!どんな音にもPolysixの「Ensemble」をかけられるわけです。

miniKORG 700S

実機は触ったことないので比べられないんですが、これはいい音していますね!MS-20 、Mono/Poly、Polysixとは、少し違った感じがします。ソリッドでダイレクトに響く音なので使用目的をはっきりできそうです。今後登場する機会が増えていきそう。
あと、2D / 3D が切り替えられる GUI が最高です。操作する箇所は少ないですが、質感もいいのでリアルシンセ同様、ついついいじりたくなります。エフェクター類も足元に並んでると絶対にいじりたくなりますね(笑)

microKORG

これはガジェット的に楽しいシンセですね。そしてレイヤーはあるものの前面にほぼすべてのパラメータと機能が出てるし、数字化、図形化していて実機より使いやすいです。オシレーターも可視化されていて楽しいですね。DAW とのテンポの同期、オートメーションを使っての音色の変化が簡単なのもいいところですね。そして、Vocoder までついてる!

ELECTRIBE-R

こちらは、なんと言っても即座に簡単にシンセを含めたリズムパターンを作れるのがいいですね。トラック選択、パターンの長さの変更が簡単にできて、シンセのパラメータの操作をパターンとして組み込めるのもいいですね。
また、プリセットが沢山あるので、まず選んで自分のオリジナル・パターンを作っていくのも簡単です。触っていると楽しいので、最終的にはプリセットの跡形もなくなりそうですが(笑)シンセを含めたプリセットなので、作曲のインスピレーションも湧くと思います。

岸利至

千葉県生まれ。高橋幸宏氏、坂本龍一氏のプログラマーとしてキャリアをスタート、後に布袋寅泰氏のプログラマーとして多くのレコーディング、ステージに参加。アレンジャー/プロデューサーとしてT.M.Revolution、THE ALFEE、ViViD、D'espairsRay などの作品に参加。最近ではネットを中心に活躍する luz 及び Royal Scandal のプロデュースも手がけた。

インストルメンタル作品の作曲も手掛け、TV「ガイアの夜明け」のテーマソング「鼓動」、Jリーグアンセム「THE GLORY」はどちらも長きに渡り使用されている。ゲーム音楽も多数手がけ、PS4用ソフト「Dragon Ball Fighters Z」ではメインコンポーザーとして50曲近い楽曲を作編曲。

またアーティストとしても T.M.R. 西川貴教をフロントマンにした abingdon boys school、D'espairsRay の HIZUMI、despiral MASATO とのデジタル3ピースバンド NUL. などで積極的に活動中。

■アーティスト情報
Official HP : http://toshiyukikishi.net/
Twitter: https://twitter.com/tko1017

■最新リリース情報
NUL. 「EVILA」
Royal Scandal「777 -Three Seven-」