2014.04.18
小田 朋美「tinyPIANO & KingKORG」インタビュー
『シャーマン狩り』にいたるまで
『シャーマン狩り』に戻りますが、レコーディング前の作曲期間はどのぐらいかかったのでしょうか?
(小田)元々は私のライブを阿部さんが観て、しばらくした後に「アルバムを作ろう」と言ってくださったのが発端なので、前に作っていた曲がいくつかあったんです。「雨よ降れ」と「〔風が吹き風が吹き〕」についてはライブのために作った曲で、「雨よ降れ」は2010年の春にVOICEバージョンでやっていました。
(阿部)でもアレンジは大きく変わったよね。最初にライブで観た時はパーカッションとチェロとフルートに小田さんの編成だったんですけど、チェリストの関口(将史)くんが残り、弦カル(弦楽四重奏)になり、弦カルでしばらく活動していて、レコーディングに際して田中(教順)ちゃんが入ったんだよね。
(小田)そうですね。半年間くらい、弦カルの編成で色々なライブに出演したり、アレンジを提供したりして試行錯誤を続けていました。その間に弦カルの曲はちょこちょこと出来てきたんですが、ドラムの教順さんに入ってもらうことによって、また新たなアレンジを作っていった感じでしたね。
(阿部)弦カルで活動していた時期が今にして思えばアルバムに向けての準備期間だったのかも知れないね。それと同時期にレーベル社内でアルバムの企画を立ち上げて行った感じです。
それにしても今回のアルバム『シャーマン狩り』は、本当に稀有なサウンドですよね。ベースがいないっていうのもその1つですし、ドラムが個々のパーカッションの集まりだということを再認識しました。
(小田)ドラムに関しては、レコーディング中の教順さんの音の作りかたを見ていても、そう思いました。ドラムセットのそれぞれが独立した楽器だなっていう意識が。
色んなスタイルの音楽を幅広く聴きたい方には本当にオススメの1枚です。表面的にはすごく変わった音楽に聴こえるかも知れませんけど、それがすごくナチュラルな感じなんですよね。
(小田)このメンバーだからできたと思います。特にドラムとのデュオに関しては教順さんとだからこそのプレイもたくさん入っていますし、「やりたいようにやったら、こうなった」って感じですね…(笑)。
この伸びやかさですとか、ナチュラルな感じは、なかなか見られないものですよね。
(阿部)デビュー作というのもありますね。
(小田)伸び伸びやらせていただきました(笑)。ありがとうございます。
(阿部)出せて感無量ですよ(笑)。
反響も大きいですよね。
(阿部)僕は小田さんの前に菊地さんプロデュース・ワークとして「ものんくる」と「けもの」のリリースに立ち会いましたが、彼らはすでにデビュー盤を出していたんでその反響も予想通り大きく、嬉しい反応もたくさんありました。対して小田さんの場合はデビュー作ということで予測できない部分があったんでが、リリースしてみたら前者2組に負けないくらい反響がすごく大きいですね。特に音楽好きの人からの反響が大きいことと、ミュージシャンからの反響が大きいのが今のところの特徴です。
(小田)それは嬉しいですね。
(阿部)ミュージシャンからの反響が大きいのはすごく嬉しいです。
ジャケットもすごいですよね。
(阿部)それはもう、菊地P(プロデューサー)のディレクションで…(笑)。
配色も“刺さる”感じがしますよね。
(小田)80年代っぽい感じが気に入っています。
店頭で目立ちますよね!
(阿部)目立ちますね〜。
KingKORGのこと
DCPRGですが、参加された経緯は?
(阿部)前は丈青さんでしたので今度は女性ということで(笑)。
(小田)(笑)菊地さんにお声かけいただきました。そしてひとまず2013年11月の大阪・東京公演に参加することになったのですが、私は普段キーボードをメインにしていないので、まず楽器をどうしようかと…。シンセはコルグM3を持っていたんですが、その頃に出会ったのがKingKORGだったんです。
演奏されてみていかがでしたか?
(小田)すごく新鮮で興奮しましたね。
小田さんの活動とはまたずいぶんと違った編成ですし。
(小田)そうですね。私は今までアコースティックのライブばかりだったので、最初、あまりの音の大きさには驚きました(笑)ギターの大村(孝佳)さんによれば、ヘヴィメタル等のライブなどに比べれば控えめなんだそうですが、それでも私にしてみればすごい音圧で。それはさておき、メンバーのみなさん一人一人がとにかく凄腕なので、緊張もありますがすごく楽しいですね。キーボードの坪口(昌恭)さんもとても尊敬している方ですし。
KingKORGはいかがでしたか?
(小田)私自身、シンセサイザーに関しては本当にこれからという感じなので、研究することがたくさんあります。でも、最初の印象ということで言えば、やっぱりツマミですぐにいじれるところが良いですね。操作性の良さにも助けられていて、使いこなしていければいくほど繊細かつ大胆な表現が即座にできるようになるだろうと想像しています。音も太いですし。あと、この軽さ(7.0kg)は本当にありがたいです。
(阿部)最近、軽いキーボードが増えて嬉しいですね。
メンバーからの評判はいかがでしたか?
(小田)坪口さんからは「今っぽい音だね!」と。私は坪口さんが作るアナログっぽい音色がとても好きなのですが、KingKORGはまた毛色の違った音も出せますし、色んなアプローチが可能かなと思っています。
DCPRGのお客さんの反応も良かったんじゃないでしょうか。
(小田)だといいですね。ライブ会場で物販させていただいたんですけど、『シャーマン狩り』をたくさんの方に買っていただけたのは嬉しかったです。
(阿部)かなり売れましたね。あのライブの後にtwitterで「小田朋美はかわいい」っていうツイートをいくつか見ました。“小田萌え”が着々と増えている…(笑)。
(小田)やめてください!(笑)
次回のDCPRGもすでに決まっているんですよね?
(小田)はい。2014年5月で決まりました。
そういう意味でも2013年は充実の年でしたね?
(小田)そうですね。良いスタートが切れたと思いますし、2014年も挑戦していきたいです。特に最近は、教順さんとのデュオをもっと深めていきたいなと思っているんです。
(阿部)僕は当初、小田さんのピアノと歌声、それと作曲で注目していたんですが、今回のアルバムを通して気づいたのは、アレンジ能力もすごく高いんです。デュオのライブでは、アレンジ能力を発揮してさらに熟成させていくともっともっと面白くなっていくんじゃないかな、って思っています。
アルバムのデュオ曲は、譜面を作られたんですか?
(小田)最初は譜面にしていたんですけれど、途中でやめました。
それはまたどうして?
(小田)もっと自由度が欲しかったんで、リハをとにかく積みました。鬼リハですね(笑)。
それが“狙っていない感”のナチュラルさにつながっているのでしょうか。
(小田)そうかも知れませんね。そう言っていただけてすごく嬉しいです。
それでいて、全体の構築性もあって…。
(小田)そのバランス感はこれからもっと探求していきたいですね。
インプロでしたらさらに凄い世界になりそうですね。
(小田)インプロ精神はいつもあります。たとえ同じことをやるにしても、感覚を開いていれば、お客さん、共演者、空間や自分の体調などなど、様々なものと対話することができて毎回違った演奏になります。CDでこそ得られる楽しさもありますが、ライブでしか得られない体験にはこだわり続けたいので、色んな方にぜひ観に来ていただきたいですね。
では最後にメッセージをお願いします。
(小田)アルバム『シャーマン狩り』をぜひ聴いていただきたいのはもちろんのこと、ライブでは田中教順さん(ドラム)とのデュオ、二代目高橋竹山さん(津軽三味線)とのデュオライブや、ときにはアイリッシュ音楽など、様々な毛色の音楽をやっています。これらのライブはアコースティックがほとんどですが、5月のDCPRGライブではエレクトリックなサウンドもお楽しみいただけますし、ぜひぜひ色んなライブに足をお運びいただけたら嬉しいです!
今回はお忙しい中、ありがとうございました。
【CD】
『シャーマン狩り Go Gunning for Sharman』
AP1055 2,500 (2,700)円/2013.12.04
http://airplanelabel.shop-pro.jp/?pid=66565858
小田朋美の最新情報はこちらでチェック!
http://odade.gozaru.jp/
【Live Information】
4月20日(日)
『小田朋美×田中教順デュオ』
@ in F (大泉学園)
http://in-f.cocolog-nifty.com/
OPEN 18:30 START 19:00
チャージ ¥2500(ドリンク代別)
お問い合わせ:in F
03-3925-6967
5月9日(金)
『小田朋美ソロピアノ』
@表参道 スパイラルカフェ
http://www.spiral.co.jp/shop_restaurant/spiral_cafe/
OPEN 20:15
チャージフリー(投げ銭あり)
お問い合わせ:ワコール アートセンター
03-3498-5791
5月24日(土)
『DCPRG』
@TSUTAYA O-EAST
http://shibuya-o.com/east/2014/05
OPEN 18:00 START 19:00
スタンディング 前売り:¥5,000(ドリンク代別)
お問い合わせ:SMASH
03-3444-6751
5月25日(日)
『小田朋美×田中教順デュオ』
@ クレオール(神戸)
http://www3.ocn.ne.jp/~creole/
OPEN 18:30 START 19:00
チャージ 予約¥2500 当日¥3000(ドリンク代別)
予約・お問い合わせ:クレオール
【MAIL】creole@basil.ocn.ne.jp
【TEL】078-251-4332
5月26日(月)
『DCPRG』
@Umeda AKASO
http://www.akaso.jp/
OPEN 18:00 START 19:00
スタンディング 前売り:¥5,000(ドリンク代別)
お問い合わせ:SMASH WEST
06-6535-5569
5月27日(火)
『DCPRG』
@Nagoya CLUB QUATTRO
http://www.club-quattro.com/nagoya/
OPEN 18:00 START 19:00
スタンディング 前売り:¥5,000(ドリンク代別)
お問い合わせ:JAIL HOUSE
052-936-6041
5月28日(水)
『小田朋美×田中教順デュオ』
@K・Dハポン(名古屋)
http://kdjapon.jimdo.com/
OPEN 19:00 START 19:30
チャージ 予約¥2500 当日¥3000(ドリンク代別)
予約・お問い合わせ:K・D ハポン
【MAIL】kdjapon@gmail.com
【TEL】052-251-0324