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2025.12.26

藤井怜央(Omoinotake)「NAUTILUS」インタビュー

2024年は『幾億光年』が大ヒットし紅白にも初出場したOmoinotake。2025年はその『幾億光年』が春の選抜高校野球大会の入場行進曲に選ばれ、さらにサマソニやロックインジャパンなど多くの夏フェスに登場。一気にメジャーアーティストの仲間入りを果たしました。そして今年の3月にはバンド初の武道館公演も控えています。
 
そんなOmoinotakeのボーカル・キーボードの藤井怜央さん。
NAUTILUSでステージに立つ姿もすっかりお馴染みになりましたが、どんな音楽遍歴を歩んできたのか、ライブでどのようにNAUTILUSを使っているのかお話を伺いました。

── Omoinotakeはピアノボーカルトリオという編成ですが、結成当時目標にしていたバンドはいますか?

藤井: 自分は元々ドラムをやっていて、正直言うとピアノがバンドに入っている音楽というのを誘ってもらうまで全然聴いたことがなかったです。
 

── ドラムの時はどんなバンドをやっていたのですか?

藤井: 元々は青春パンクから入ったので銀杏BOYZとか、そこからメロコアやエモのような、激しめな音楽性のバンドでドラムを叩いていました。

その後Omoinotakeとしてピアノボーカルとして誘われてから、どんなバンドがいるんだろうなというので聴き始めて、最初はBEN FOLDS FIVEというバンドがいて、こんなバンドがいるんだなぁという入り口からそこからいろいろ鍵盤のバンドを聴き始めるようになりました。
 

── Omoinotakeの結成の経緯はどのような感じだったのでしょうか?

藤井: 僕以外の2人、地元も一緒で同い年なんですけど、僕よりも先に上京しててメンバーを探してたみたいなんですけど、僕が元々ピアノを弾けることと歌も好きというのを知ってたので、それがキッカケで誘われました。
 

── バンドでドラムを叩く前はクラシックピアノを習っていたのですか?

藤井: 小学校1年から中学2年生くらいまで習っていました。結構熱心に習っていましたね。
 

── 歌を歌うのは好きだったのですか?

藤井: そうですね。家にはアップライトピアノがあったので、自分でコードとかを独学で勉強し始めてから弾き語りという感じで遊びでやっていたくらいから、歌うのはすごく好きでした。
 

── その時はどんな歌を歌っていましたか?

藤井: Mr.Childrenとか結構聴いていました。
世代的にはSUPERMARKET FANTASYあたりですかね…
でももうさかのぼって昔の曲も全部聴いて歌っていました。
 

── そうだったんですね。自分の曲をオリジナル作り始めたのはOmoinotakeに入ってからですか?

藤井: 地元にいた時は全然やっていなくて、Omoinotakeで誘われて、最初の2年ぐらいは詩も曲もベースのエモアキがやってたんですけど、2・3年ぐらい経った時に音楽性を変えて、それぐらいから僕も作り始めたんです。

── NAUTILUSを様々なステージでご利用頂いておりますが、選んだ決め手は何だったのでしょうか?

藤井: やっぱり、もともとアコースティックピアノでクラシックをやっていたというのもあって鍵盤タッチはすごい大事にしていて、ペラペラした鍵盤だと弾いた感じも物足りないし、かといって重過ぎても気持ちよく演奏できない。
あと練習するときもしっかり打鍵がないとこの辺(腕のあたり)が鍛えられないというのもあって、ピアノタッチはかなり重要視しています。

NAUTILUSはすごいいい打鍵なので、それは一番大きかったですね。

あとはやっぱり液晶パネル。ライブ中に音を切り替えることがかなりあるので、液晶パネルでそれがパッパッパッとできるのは本当にいいなと思います。
前に使っていたキーボードは1個ずつしかプログラムを移動できなかったので、ライブの度に入れ替えていたので大変でした。
 

── 先ほど音をいろいろ切り替えることが多いとおっしゃってましたが、そのときにはアコースティックピアノ、エレクトリックピアノの音色で演奏されることが多いですかね?

藤井: そうですね。あとはエレクトリックグランド系の音も使いますね。
 

── 切り替えはアコピとエレピを行き来するのか、もしくはアコピの中でもちょっとエフェクトを変えたりEQ違いで変えるのか、どっちが多いですか?

藤井: どっちもあります。例えば、EQでローを削ったところから曲が始まって、Bメロとかで普通の音に戻るというのもあるし、あとは平唄はアコピでサビでエレクトリックグランド系にするとか、そんな感じですかね。
 

── 空間系やSFXっぽいもの、極端に歪ませたりとかもされるんでしょうか?

藤井: エレクトリックピアノの歪み具合とかは、それこそ液晶パネルで、ちゃんと画として出てきてくれるのがすごくやりやすいなと思います。
ビブラートのスピード感とかいじれるのはわかりやすいですよね。
実機を弾く機会はそれほど多くないですが、それでもパネルとして出ていると触りたくなってしまう。数字だけより全然いいですね。
 

── EP-1の画面のドライブのパラメーターを画面から直接コントロールされているということですね。

藤井: そうです。
ディレイとかも、ちょっとダブっぽいやつとかをするときは、それもやっぱりエフェクトのページが回線がきれいにまとまっていて、あれも結構わかりやすくていいなって思います。

結構複雑なこともできますし、かなりの数のエフェクトが重ねられるので、音作りの幅がめちゃくちゃ広くなってきます。

  • エレクトリックピアノ音源EP-1のパネル画面。実機ライクな操作子で音色をコントロールできます。

  • IFX(インサーションエフェクト)のルーティング画面。
    駆使すれば多彩な音作りが可能になります。

──  アコピの話に戻りますが、一番メインで使われるアコースティックピアノは?

藤井: 001のItalian Grand Pianoです。ほとんどの曲がこれですね。

バラードっぽい曲の時は011のDark Italian Grandを使っています。
Italian Grandでほぼカバーしてますね。

また、最近はPAの方と相談してエレクトリックグランドとアコピをレイヤーさせて使っています。
エレクトリックグランドはうっすら聞こえる程度にして、中身の詰まったサウンドを出すということもしています。

アコピとエレピのレイヤーもするし、オルガンとエレピのレイヤーも使うので、レイヤーは結構駆使していますね。
 

──  NAUTILUSの上にセッティングされているキーボードは どのような使い方をされていますか?

藤井: 製作でプラグインシンセを基本的に使っているので、再現性を重視してMIDIキーボードを使用しています。

いろいろ使っていますが、ARTURIAのV collectionも使っています。
 

──  この他に、NAUTILUSならではの使い方はありますか?

藤井: アコピのプログラムにサイドチェインをかけてダッキング(※1)効果が出るようにしてあります。というのも、制作ではプラグインでサイドチェイン(※2)をキックにかませば済む話なのですが、それをライブで再現しようとするとなかなか難しいのですが、NAUTILUS本体だけでもDrum Trackを駆使すればそれが出来ることを発見して、その時は本当に感動しました。
 

──  それはすごいですね!ダッキングされたサウンドはリスナーは聞き慣れているし、同じことをやりたいと思っているプレーヤーはたくさんいるかもしれませんね。

藤井: そうですね、どうしても鳴らしたくて…。
すごいカッコいいサウンドになるんですよね。
僕たちの『ラストノート』という曲でそのサウンドを使っているのですが、そのライブ音源が一番分かりやすいと思います。

イントロは歌とアコピのみなので分かりやすいと思うのですが、ダッキングされたアコピと同時にローミッドをカットしてレンジの狭いサウンドから入って、平歌でエレピに変えて、サビで盛り上がるところでEQで削っていないアコピに戻すという形にしています。
 

──  駆使されてますね…!

※1:キックが鳴るたびにピアノが一瞬小さくなるような効果
※2:ある音(例:キック)をトリガーにして、別の音(例:ピアノ)の音量やかかり具合を自動で変える仕組み。

「ラストノート」のライブ音源。アコピのサウンドにダッキングがかかっているのが分かると思います。

── Omoinotakeはキーボードがセンターで正面を向くセッティングですが、キーボードトリオとしては珍しいですよね。

藤井: 確かに、座って弾かれる方多いですもんね、ピアノの方。
今のセッティングではない時期もあったんですけど、やっぱり普通に歌いながらお客さんの顔を見たいというのがあったし、後はフロントマンとして先陣切って煽ったりする時に、横向いて煽るよりかは立って前向いて歌った方がちゃんと届けられるかっていうのは大きいですね。
 

── バンドのフロントマンとしての矜持というか、スタンスということですね。

藤井: そうですね。
 

── 2024年の紅白の出場がOmoinotakeにとっても大きな出来事だったと思うのですが、そのときのバンド内の雰囲気は感じでしたか?

藤井: ずっと出続けるという目標に掲げて公言もしてきてたので、出場が決まったときは本当に歓声を上げて喜びあっていました。思い入れが桁違いだったので…紅白に関しては。
 

── 最後に、今もコピーバンドでOmoinotakeをコピーして演奏している方もたくさんいらっしゃるでしょうし、またそういった方がバンド活動を続けていく上で自分もプロになりたいとか、大きな舞台に出たいとか、それこそ紅白でるような歌手になりたいという夢を持つ若い方がいっぱいいらっしゃると思うので、そういう方に向けたメッセージを最後にいただけますでしょうか。

藤井: はい。僕は元々ドラムをやっていたところからピアノボーカルとして誘われて、初めてバンドで鍵盤奏者として携わるようになった最初の3年・4年くらい、もっと言えば 5・6年くらいかな、本当に手探りで
本当に全然自信もない状態で必死に曲を作ってアレンジして少しずつ成長できたかなと思うので、ある程度スキルを身につけた状態でバンドを組むという順番ももちろんいいと思うんですけど、僕は多分どっちかというとバンドをやりながらどんどんバンドの中での鍵盤奏者としてのやり方を磨いていった感じなので、物怖じせず少しずつバンド活動しながら磨いていけたらいいんじゃないかなと思います。
 

── とにかくまずはステージに立って、そこから磨いていこうということですね。

藤井: そうですね。
 

── ありがとうございました。

藤井 怜央(ふじい れお)

島根県出身。中学からの同級生同士が2012年に東京で結成した、藤井怜央/レオ(Vo./Key.)、福島智朗/エモアキ(Ba.)、冨田洋之進/ドラゲ(Dr.)の3人からなるピアノ・トリオバンド。繊細ながらも情感を揺さぶるヴォーカルと歌詞が「踊れて泣ける」グルーヴを生み出し、幅広い世代からの支持を集める。

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