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2014.04.14

島田 昌典「KRONOS X」インタビュー

アレンジ、プロデュースの道へ

アレンジ、プロデュースの道へ

最初に手掛けられたアレンジやプロデュース作品は?

元々大阪で活動していたんですけど、CMとか、円広志さんのバックバンドでアレンジもやっていました。

アレンジというお仕事というのは、実際にはどんな感じで進んでいくものなのでしょうか?

大きな流れで言いますと、作曲された曲をみなさんがCDや配信などで実際に聴ける形にするまでがアレンジの仕事です。元の曲にイントロやエンディング、起承転結を付けたりする作業もあります。作家さんから曲が来た時点の状態というのは、弾き語りだったりとか、1コーラスのみだったりとか、ピアノやギターだけとか、すごくシンプルな状態なんですよ。そこから肉付け、つまりリズムとか色んな楽器の音を入れていったりして、曲として流れのある形にしていくのが仕事です。

ということは、最初は歌メロとコードぐらいなんてことも?

そういうこともあります(笑)。ですんで、そこからイントロなどを作っていくんです。作曲に近いこともありますし、アーティストによっては精巧なデモを作ってくる人もいますし、色々です。

アレンジの方向性といった部分はどのように決められるのでしょうか?

そこは打ち合わせで決めていきます。バンドっぽい感じとか、ピアノが(楽曲を)リードしていく感じなのか、ギターを前面に出していく感じなのかとか、あるいは打ち込み主体なのかとか、そういう大まかな線をアーティスト本人と話しながら決めていきます。そこから実際の作業がスタートしていくという感じですね。

 

作業スタートから何日ぐらいでアレンジ完成まで行けるのでしょうか?

僕の場合、1曲でだいたい3日間ぐらいですかね。ストリングスが入るとやっぱり多少時間がかかりますけど。だいたい3日間ぐらいである程度のトラックができて、そこでアーティストに(このスタジオに)来てもらって歌ったりとか、テンポを調整したりとか、場合によっては構成を変えたりとかといった作業が続きます。

ストリングなどのオケが入る場合はスコアも書かれるんですね?

そうです。今は打ち込みである程度のシミュレーションをして、そこから譜面ソフトで書いています。それでできた譜面を持ってスタジオに行き、オケのレコーディングをします。そのレコーディングでだいたい1日かかります。

その現場にも立ち会われるわけですね?

もちろん。そこで細かな調整とか指示などを必要に応じて入れたりします。

大変なお仕事ですね。

そうかも知れませんが、楽しいですからね。バンドのプロデュースにしても、演奏のジャッジをしたりとか、音色を決めて行ったりとか。

楽曲として完成するまでの大部分の過程を担当されるということなんですね。

そうですね。歌入れも含めた最終ミックスまでです。実際のアレンジ作業は3日間だとしても、そこから歌入れとかミックスとかもありますから、色々時間はかかります。アルバム1枚となると、場合によっては何ヶ月もかかることがあるんです。

島田昌典 インタビュー

弦などのアレンジとなりますと、やはり専門的な音楽の勉強が必要なのでしょうか?

僕の場合は基本的に独学なんですけど、セッションやバックバンドでの経験から色々学んでいった部分が大きかったです。キーボーディストだと「譜面書いてきて」ってこととか、現場でアレンジするとか、そういう少し裏方的な作業も多いですからね、ギタリストよりは(笑)。でも、そういう経験の積み重ねが「力」になっているのかも知れません。

アレンジやプロデュースとなりますと、色んなスタイルの音楽を広く知っている必要がありそうですね。

そうですね。

そうなると「好きだけでは済まされない」部分もありますよね?

あります。僕はクラシックはあまり通っていませんけど、それでも色んな音楽を聴きました。その「なんでもできる」中でも「これが自分のサウンド」っていうのがあるのが良いですよね。そういうのを見つけていく、やっていくうちに自分の得意なものが出てくる感じですかね。それと、それを仕事にする、っていうのはまたちょっと別なんですけどね(笑)。お金をいただくということは、クライアントさんがいるということですから、出されるオーダーに対応しつつ、自分の得意範囲との接点をどうやって見付け出して、そこへどうやって持って行けるか、っていうのが…(笑)、(仕事にしていく上で)大変な部分でもあり、面白い部分でもあるんです。