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2013.12.27

cero「KAOSS PAD QUAD & KingKORG & SV-1」インタビュー Powered by CINRA.NET

太陽の光が差し込む快適な根城にしつらえた
ceroの実験を形にする機材たち

世田谷区奥沢にあるPastoral Soundは、日本における舞台音響効果の草分けである園田芳龍氏の精神を受け継ぎ、選曲家・音響効果・音楽プロデューサーの園田芳伸氏によって1977年に設立された会社で、レコーディングスタジオとしてはまだスタートして8年だそうです。録音ブースはメインブース、ピアノブース、単楽器ブースに分かれており、高い天井のブースには太陽の光も差し込み快適な居心地。上のフロアには壁いっぱいに本が並び、オシャレなポスターなども貼ってあって堅苦しさは微塵もありません。ライブのPAエンジニアを務める得能直也氏から勧められたceroは、『My Lost City』からここをメインスタジオとして使用し、『Yellow Magus』のレコーディングもここでおこなったそうです。高城さん曰く、「一番気に入っているのは美味しいコーヒーがたくさん飲めるところ(笑)。それに、スケジュール的に無理な相談にも乗ってくれるから助かっています。自分たちがやりたいサウンドを自由に実験できる場としては、これ以上ない環境ですね」とのこと。

KAOSS PAD QUAD

高城さんの「声のエフェクター」として、ライブで大活躍しているのがこのKORG「KAOSS PAD QUAD」。細かくパラメーターを設定するのではなく、ツマミもシンプルでコンパクトエフェクターのようだし、指を使ったパッド操作が感覚的にできるところが気に入っているそうです。

高城:ライブではいつもマイクは2本立てていて、1本はメイン、もう1本はKAOSS PAD QUADに直接つないでいるんですよ。ceroの曲って、海の中にいるような雰囲気が多いから、フランジャーをかけると「ブクブクブク……」ってなって、水の中からしゃべりかけているような効果が生まれる。そういう演出に一役買っていますね。レコーディングのときは、パーカッションなどにかけて、パッドをランダムにいじると指の位置でディレイタイムが変わるので、それで音程を付けたりしています。

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KingKORG

Prophet-5やOberheimなど、往年のアナログシンセを非常にリアルに再現する本機種を最近入手し、『Yellow Magus』のレコーディングではリードシンセとして使いまくったという荒内さん。これまでシミュレーター系のシンセといえば操作の難しさが難点だったのですが、いい意味で簡略化されたインターフェイスが非常にお気に入りだとか。

荒内:オシレーターやフィルターのツマミをいじれば必ず音に反映されるし、感覚的に動かせるのが嬉しいですね。自宅ではUSBでパソコンと繋げて、音楽制作のマスターキーボードとしても使ってます。それに、本体がとても軽いのもポイント高いです。家でいじってて、「あ、この音はライブでも使いたい!」と思っても、重いと持ち運ぶの大変じゃないですか(笑)。これはライブに持って行きたくなるシンセですね。

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SV-1

音色の良さに惹かれ、『My Lost City』のツアーから本機種を使い始めた荒内さん。いろいろ試してきたシンセの中で、生の鍵盤楽器、とくにエレクトリックピアノ系の音色が「抜群に良かった」そうです。真空管が搭載されているので、アンプを通したような歪みサウンドを作ることも簡単。バンドサウンドの中でも埋もれず前に出てくれるので重宝しているとか。

荒内:プリセットの選択肢があまり多くないのですが、それが実はポイントだったりします。家で作業するにしても、ライブで使うにしても、プリセットが膨大にあるとかえって迷ってしまうことがあるんですよね。ちゃんと使える音色が最低限入っているのが、実はものすごく重要なんです。生ピアノはもちろん、ウーリッツァーやローズ、クラビネットにオルガンと、どれもいいですね。僕はディレイタイムを無限にかけたエレピの音を登録してあって、ライブの始まりでよく演奏しています。

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世界中にあふれかえる様々な音楽スタイルを、縦横無尽にクロスオーバーしながら「ここではない、どこか=エキゾチカ」を求め続けるcero。そんな彼らの活動は、突き詰めていけばきっと「私たち日本人とは何か?」を再発見することに繋がるのではないでしょうか。彼らが敬愛する細野晴臣も、アメリカ音楽を極めていく中で「ディスカバリージャパン」へと行き着いたように、ceroもまた、現代を生きる我々日本人のアイデンティティーを見出してくれることでしょう。


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