2025.12.15
Kan Sano「KORG Products」インタビュー

──SV-1は購入されたんですか?
KS: 買いました。でも実を言うと鍵盤の色が白と黒が逆になっているバージョン(※SV-1 Revers Key(2012年発売)、ボディは赤)が最後の1台みたいな感じでここのショールームに置いてあって、それをお願いして買わせてもらいました。 10年くらい前ですかね。
通常カラーのモデルも試させてもらったんですけど、なんかそのリバース・モデルの感じが僕は好きで。 鍵盤は色が違うだけで、タッチは変わらないと教えてもらったんですけど、 やっぱり違う感じがして、そのリバース・モデルの独特の、たぶん体感だけなんですけど、なんかゴツゴツ感というか、 昔のキーボードを弾いている感覚に近い感じがすごい好きで。73鍵でした。
この真空管のアンプを通す、この音もすごく好きです。これをかけるだけですごいやっぱりいいですよね。
──エレピの演奏がメインですか?
KS: エレピでしたね。エレピと、クラビの音もすごく好きで、あとワウも綺麗にかかってくれるし。サポートのツアーとかでも持って行ったりしてました。
──今日弾いて頂くのはSV-2なんですけど、SV-1でもプリセットは結構エディットしたりしましたか?
KS: 触ってたのはEQですかね。 エフェクトも触ってましたが、 主にはやっぱりEQですかね。 やっぱりバンドで鳴らす時に、埋もれがちな帯域をちょっと補うとか。あと相対的というか、他の音色に対してのバランスだったりとか。エレピ系は思い切って高音域を上げて使ったりしてます。(※下記動画に登場するモデルはボディは黒、黒鍵部分が赤のBlack Reverse(2015年発売))
──Grandstage Xの方に座っていただいてますが、お話は使われているGrandstageの方でお願いできれば。
KS: ここ10年とか15年くらいですかね、エレピとかピアノの音色がどんどん良くなってて。このGrandstageが出た時にピアノの音がすごく良くなったのが衝撃でした。
エレピとクラビがめちゃめちゃ良いので、それまではSVをずっと使ってて、Grandstageが出た時は更にピアノも良くなってて、いよいよ本当にマスター・キーボードの決定打が出てきた、待ってましたっていう感じでしたね。だからGrandstageが出たあたりから、バンドセットのライブもそうですけど、ライブで 一人でピアノ音色をメインで使うようなキーボードとして使うようになっていったっていうか。これは衝撃でした。
──ピアノのプログラムはどのような音を選んでいますか?
KS: 色々試したんですけど、結局やっぱり最初に入っている「001 Grandstage Piano」, それを使ってます。 それをEQだったり、ちょっと自分で微調整しています。あとGrandstageが好きなところは、ダイナミックスのノブが付いているので、それもやっぱりライブのときにすごく便利で、かつEQもすぐ触れるっていう、使い勝手がすごくいいですね。
──EQの使い方は、やはり抜けを考慮し高域を上げるのですか?
KS: そうですね。あとは会場のモニターや音の環境によっては、ちょっと低域が足りないとか大きいとか、そういうことがあったりするんで、PAさんでなく自分でできるときは このEQでちょっと触って調整したりもしています。
僕はシンセを細かくリアルタイムで触っていくのはそんなに得意ではないんですけど、最小限やりたいっていうことにすぐ触れるっていうのは便利ですね。ダイナミックス・ノブも他のシンセにはないものなので、びっくりしました。
──2021年にはantiquaのCMにGrandstageが登場しました。
KS: あれは、どうだったかな。antiquaのスタッフの方に「子供がピアノやるんで、オススメのシンセないですか」みたいに聞かれたときに、僕はGrandstageをオススメして。映像はANTIQUA TREE CAFEで撮ったんですけど、そこで用意してもらったのがGrandstageになったっていう、確かそういう流れでした。
(CM動画)
──オススメで思い出しましたが、七尾旅人さんにもオススメしてくださって。
KS: 旅人さんもシンセを一応持っていたんですけど、もっとタッチが良くてピアノの音が良いものを欲しいっていう話で、 それでGrandstageをオススメしたんですけど、 気に入って練習してるみたいです。
KRONOS(2011年発売)
KRONOS(2011、販売終了) / KRONOS 製品情報
──次はKRONOSについてお願いします。
KS: 出会いは最初にKRONOSが出るときに誰かに教えてもらったか、もしかしたらショールームで弾いたのが最初だったのかもしれないですけど。これはやっぱり、ライブでも使えるし、制作でも使えるっていうところで、どっちでも結構使ってます。
──KRONOSの印象は?
KS: タッチパネルが大きく真ん中にあるのが操作しやすくて、ライブで色々な音色を使い分けていくときに便利なのと、エレピもピアノも、もうそれだけじゃなくて全部ですけど、やっぱり音がめちゃめちゃいいので。
自分のアルバムでいうと『Susanna』とか『k is s』とかもそうなのかな。なんかあの時期めちゃめちゃ使ってましたね。 制作は今はソフト・シンセを使うんですけど、オーディオで録ってた時期はもうKRONOSで録音しまくってました。
──KRONOSのドラムも使っていましたか?
KS: KRONOSに入っているドラムを取り込んで、使ってましたね。ネオ・ソウル系のキットとかヒップ・ホップ系のキットとか。 後で知り合いがその音作りに携わってたのを知ったりしてびっくりしたんですけど。
あとエレピも「Herbie's "Butterfly" EP」っていう音色とか。ハービーの名前が入っているのが、ハービー好きとしてはテンション上がりました。実際音もすごくいい。
──制作はソフト・シンセに移行したとのことですが、オーディオでKRONOSを録るのとPlug-inで完結させるのは、何かフィーリングに差がありますか?
KS: オーディオで撮るとライブ感はすごいありますよね。やり直しが効かないっていうのと、 撮った後にそこまで細かくは編集できないので、例えば何かを撮るときに、ある程度練習して弾けるようになってから撮らないといけないので、そういうフィジカルな感じというか、ライブ感っていうんですかね。
──KRONOSはライブでも使われましたか?
KS: たまに持っていってました。88鍵のものを使っていたので、大きいし重さもあるので、楽器のスタッフさんとかがいるような現場とかだと持ち込んで使ってましたね。ライブのときはセットリストに全部音色も流し込んでおいて使います。このセットリストもすごい便利なんですよね。
microKORG 2(2024年発売)
──Kan SanoさんにぜひmicroKORG 2を試して頂きたいです。
KS: 印象としては、ものすごく可能性があるシンセというか、初代microKORGからすごく進化しているので、あまり同じものと考えない方がいいのかもしれないです。microKORGの良さも残っていますけど、音もすごくバージョンアップされているし、操作性も良くなって迷わず使えます。
ノブを触って音を作っていけるというのがmicroKORGの面白さですけど、それがこの画面で絵と数値で見えるというのは、初代とは違い痒いところに手が届く感じ。初代にはちょっと物骨な感じも含めて、初代の良さというか面白さがあるんですけど、こっちはもっと初めて触る人にも優しい感じになっている感じがします。
新しいmicroKORGもやっぱりいいですよね。欲しいな(笑)
──どうもありがとうございました。
Kan Sano(かん さの)
キーボーディスト/トラックメーカー/プロデューサー。バークリー音楽大学ピアノ専攻ジャズ作曲科卒業。キーボーディスト、トラックメーカーとしてビートミュージックシーンを牽引する存在である一方、ジャズとクラシックを融合したような独自のスタイルでピアノ一本の即興演奏もおこなう。また、バンドセットのライブではトランペット、ベース、ドラムも演奏し、会場を熱狂させる。
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