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2016.08.31

中村一義「microKORG」インタビュー Powered by CINRA.NET

| 中村一義の音楽活動の拠点、プライベートスタジオ「100st.」
 
ここは、中村さんのプライベートスタジオ「100st.」。祖父母と暮らしていた実家の一室「状況が裂いた部屋」からほど近いこちらに拠点を移したのは、アルバム『OZ』(2005年)の完成後でした。「状況が裂いた部屋」からつながる空気感を得るため、レコーディングブース、コントロールルームの音の響き方は特にこだわったそうです。

最初は4トラックしか録音できないハードディスクレコーダー1台で宅録を始めた中村さんでしたが、アルバム『100s』の頃にPro Toolsを導入。無限にトラックが使えるようになりました。ただ、限られた機能しか使えないハードディスクレコーダーだったからこそ、そこで生まれたアイデアはユニークだったと考える中村さんは、Pro Toolsでもできるだけトラック数を抑えて作曲し、8トラックで成立しない曲は、今もボツにしているのだとか。


 

スタジオ風景



| お気に入りの機材:Nord「Nord Stage revision B」

 

Nord「Nord Stage revision B」 (最新ラインナップ)



ピアノやエレピ(電子ピアノ)、オルガン、そしてシンセサイザーと、様々な音色に多彩なエフェクト機能を加えたオールインワン・ステージキーボード。こちらも中村さんは、発売と同時に購入したそうです。

中村 :アコースティックピアノの音が特に気に入っていて、『対音楽』と『海賊盤』のピアノは、ほとんど本機で弾いていますね。しかもこれ、エフェクト機能が面白いんですよ。ピアノにもものすごく深いコンプをかけたり、それをシンセのシーケンス音のように鳴らしたりすることができる。1つのピアノで、シンセっぽい音も、ギターっぽい音も出せるところもお気に入りの理由です。

 



| お気に入りの機材:KORG「microKORG」

 

KORG「microKORG」 (商品詳細)



2002年に登場以来、プロアマ問わず数多くのミュージシャンから絶大な人気を誇り、10年経った今でも当時と同じスタイルのまま、世界中で活躍しているのが「microKORG」です。

中村 :発売と同時に手に入れたから、2002年前後だったかな。僕の曲といえば、microKORGっていうくらい、その頃はもう使い倒しました。プリセットの音もものすごく好きですし、そこからエディットしていくのも簡単で、直感的に操作できるから嬉しいですね。ボコーダー機能もすごく便利で、先日の『金字塔』再現ツアーでも重宝しました。このシリーズは全て持っています!(笑)


 



| お気に入りの機材:Moog「Little Phatty」

 

Moog「Little Phatty」 (最新ラインナップ)



アナログシンセの名機であるミニモーグ。その生みの親であるボブ・モーグ氏によってデザインされた「Little Phatty」は、ミニモーグと同様100%のアナログシグナルパスを持ちながら、MIDIやUSBにも対応した今を活躍するミュージシャンのための、新しいモーグシンセサイザーです。

中村 :太いアナログシンセの音が欲しかったんですけど、本物のモーグだとコンディションに固体差もあるし、電源を入れてからピッチが安定するまで時間がかかるのも大変じゃないですか(笑)。それで悩んでいたときに本機の存在を知って、すぐに購入しましたね。音色も、モーグを継承しつつキラッとしたところもあって気に入っています。特に、アルバム『世界のフラワーロード』では全編にわたって使いまくっていますね。


 
 

「宅録アーティストの先駆け」としてデビューし、以降は作品ごとに音楽スタイルや名義さえも変えながら、前人未到の地平を切り開いてきた中村さん。「これからのことや、過ぎ去ったことを思い煩う必要はない。大切なのは、今この瞬間を楽しむこと」と言ったのはジョン・レノンですが、『金字塔』で<「僕は、今、ここにいる」>(“ここにいる”)と高らかに宣言した中村さんもまた、常に「現在という瞬間」だけを見据えながら、前へと進み続けています。『対音楽』でキャリアの折り返し地点に到達した彼が、この先どんな光景を私たちに見せてくれるのか。楽しみでなりません。

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