2014.04.01
Hair Stylistics a.k.a. 中原昌也 インタビュー


最近ではCD-R作品のシリーズが続いていますが、現在何枚目まで進んでいるんですか?
もう60枚とか70枚ぐらいだと思います。
最終的には何枚になるんでしょうか?
分かりませんね…もうやめたいぐらいです(笑)。
ジャケットも中原さんがデザインされて?
そうです。製造もすべて自分でやっています。
ファンにとっては嬉しいですよね。
そうですかねぇ…どうでしょう(笑)。何と言うか、メロディ作ったり構成したりっていうよりは、機械が勝手に鳴っているっていう感じが好きなんですよね。人があまり何もしていない感じ、できるだけ何もしていない感じっていうのをやりたいんですよ。「なんか鳴ってる!」っていう感じですね。あちこちから水道が漏れているような。それを「何とかしなくちゃ!」ってあれこれやるのが、僕のライブです。作品となるとちょっと違いますけどね。それでも、例えば映像が思い浮かぶというような、何かを喚起させるようなものではなくて、ただ音楽でしかないもの、っていうところは共通していると思います。
近く海外でのライブがあると伺いましたが。
9月、10月にヨーロッパの何ヵ所かで予定があります。ベルギーとノルウェー、あと数ヵ所の予定です。それの準備を考えると大変なんです。とにかく荷物が多いですから。重量の問題もありますから、ラップトップでライブやっている人は羨ましいですよね(笑)。
機材についてですが、逆に好みでない機材ってありますか?
やっぱりエディットがあんまりできないものは使わないですね。音色をいじれないとやっぱり面白くないですよね。
中原さんの好みとしては、ツマミの可変範囲が異常に広いとか…
必要のない領域とかね。それはとても大事ですね。MS-20なんかもそうですよ。今はさすがに全部が全部そういうわけにも行かないでしょうけれども、monotoribeのLFOなんかは異常に速い領域まであって面白いですね。
そういう「必要のない領域」を活かす感じですか?
そうですね。そういうところで何か面白いものができれば、という思いですね。どんどん人が使いやすく、思った通りになる楽器というのは、到達点としてはある意味で正しいとは思うんですけれど、だからと言ってそれ以外の部分を削ぎ落として行っちゃうっていうのは辛いですよね。訳の分からない部分とかを。
Hair Stylistics a.k.a. 中原昌也 - Studio Live at KORG - Part.2

初期のELECTRIBEもお使いになっていましたよね?
あれはオーディオ入力が楽しかったですね。ヘッドフォン端子からオーディオ入力に突っ込んでフィードバックさせてノイズを作ったりしていましたね。それとツマミの動きを録れるモーション・シーケンスの機能が面白かったですね。あれを使うとメチャクチャになって面白いですよね。あれはホント楽しかったですね。
monotribeもフィードバックできますよ。
あ、そうですね。できますね。今度やってみます。MS-20でもフィードバックはよく使いますね。そのフィードバックの音がすごく気持いいんですよ。

KAOSS PAD QUADも3台使っていますね。
KAOSS PADシリーズは全機種持っていますが、QUADで自由度がさらに高くなりましたね、これは面白いですよ。
コルグ製品で他に面白いものはありますか?
そうですねぇ……、僕はラック・エフェクターも好きで、先日コルグGR-1(*)を手に入れましたよ。スプリング・リバーブ。やっと手に入れたんです。大好きですよ、あれ。僕、スプリング・リバーブが大好きで、家に色んなのがありますよ。そういえば今のディレイってモジュレーションかかるのが少ないですね。あの下品な感じの「使い道ねぇだろ!」っていうのが面白いのに。モジュレーションないとダメですよ。グチャグチャにならないとダメ。
その欲望はどこから来るんですか?
なんでなんでしょうねぇ。すべての音に変調をかけたいですね(笑)。すべての音にリング・モジュレーターとか付けたいって思うことがありますね。
最後にコルグ・ユーザーのみなさんにメッセージをお願いします。
そうですね、プリセット音色に満足してたらダメ!と一概には言い難いんですけどね…。そういう様式美の面白さもありますからね、決まってるから面白いっていうこともありますから。そういうのもあるんですが、シンセの音色とかは自分で作ったほうが面白いですよ。プリセットで納得しちゃいかん!って思いますよ。いじくってみてグチャグチャになって「こんな音使えねぇ」っていう音を敢えて使うって自分に課してみるとか。そういうことは大切だと思いますね。
ありがとうございました。