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2021.07.21

難波弘之「miniKORG 700FS」インタビュー

デカコルグ(オルガン)(※1)とヤマハのロータリー・スピーカーを手に入れた後、新宿ピットインに佐藤允彦さんのライブを見に行ったら、miniKORG 700を使っていらっしゃいました。終演後にコルグ社員と思われる方(ひょっとしたら三枝さん(※2)だったかもしれません)に「渋谷のヤマハでデカオルガンを購入した者ですが」と話しかけたら大変驚かれ、さらに畳みかけるように(笑)「ツイン・オシレーターのシンセを出す予定はありますか?」と質問したら「あります!」との力強いお返事を頂きました。

そこで、半年待ってminiKORG 700Sが発売されるのを待って、購入しました。

当時、自宅が豊島区巣鴨から、いきなり神奈川県の中央林間に引っ越しとなり、京王線の桜上水と小田急の経堂のちょうど真ん中辺りにあったコルグのプレハブっぽい工房(※3)まで受け取りに行き(ということは、楽器店を介さずに、直接購入したのですかねえ? もう記憶が…)、えっちらおっちら経堂までぶら下げて小田急に乗り、中央林間からつきみ野の自宅まで、再び20分歩きました。

後にトレンディ・ドラマ「金曜日の妻たち」で有名になったエリアですが、当時はまだ田園都市線がすずかけ台までしか伸びておらず、小型軽量とはいえ、結構な重さのシンセをぶら下げて歩くのは、若かったとはいえ、なかなかしんどかったです!

オリジナルminiKORG 700S(奥)とminiKORG 700FS(手前)

しかし、ステレオに接続して鳴らしたらご機嫌なサウンドで、しばし夢中になって色々な音を作っては遊びました。夢にまで見たキース・エマーソンやリック・ウェイクマン、フラヴィオ・プレーモリやエドガー・ウインターっぽい音が出せたのですから!

他のシンセが続々と登場しましたが、僕のセットから700Sが消えることはありませんでした。それどころか、コルグでピッチベンドを付ける改造までして頂きました。アマチュア・バンドの時代から、デビューしたバンドの金子マリ&バックスバニー、1st ソロ・アルバムから、結成したバンドのSense Of Wonderに至るまで、愛用し続けています。

そして最近の是方博邦新作ソロCD発売記念ライブでも、主にエレピとして使った最新鋭のNAUTILUSと共に、愛用してきた元祖700Sと並べて、この度、めでたく復刻されたNew miniKORG 700FSと2台並べて使いました!

難波さんのライブ・セッティング

新しい700FSには、メモリー機能やMIDI、USBを始め、スプリング・リバーブやピッチ・ベンダーなど、元祖にはなかった新しい機能も追加され、より今日的になっているとはいえ、あのユニークな分厚いサウンドと、抜群の安定性(当時のアナログ・シンセは、チューニングが不安定で大変でした)は完璧に再現されておりました。

面白いのは、アタックが強めに、そして音が少し硬めになっていることで、スライダーの位置なども元祖とは微妙に違います。ビブラートの感じなども、同じ位置にしてもかかり具合が異なりました。一台ずつ違うというのも、アナログ・シンセの面白さです。

21世紀に蘇ったminiKORG 700FS、大注目のアナログ・シンセサイザーです!

※1. 試作1号機のオルガン部分をベースに作られた製品名「Korgue」の通称。
※2. 現・株式会社コルグ監査役でオリジナルminiKORG 700開発者の三枝文夫。
※3. 当時は現在の世田谷区桜上水に工場がありました。

難波弘之(なんばひろゆき)

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