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2013.11.28

ハヤシ (POLYSICS)「KingKORG」インタビュー Powered by CINRA.NET

バンドと打ち込み音の融合のため
リハスタにセットされた機材たち

下北沢にある某リハーサルスタジオ。そこにハヤシさんは、自宅のコンピューターシステムやレコーディング機材、シンセやギターなどの楽器を持ち込み、普段から曲作りをおこなっているそうです。POLYSICSの音楽は、生のバンドアンサンブルに打ち込みを融合したスタイルなので、自宅でコンピューター相手にシミュレートをしても、結局は意味がないことに最近気づいたのだとか。それ以来、ここでバンドメンバーと集まり、実際に音を鳴らしながらアレンジを組み立てていくことにしたそうです。要らない音は削ぎ落とし、足りない音を足していきながら、バンドサウンドそのものを「素材」としてコンピューターに取り込んだ後、再び自宅に持ち帰って編集作業をおこなう。そうやってPOLYSICSの音楽は少しずつ形になっていくのです。「このリハスタでおこなっていることは、いわばプリプロダクションですね」と語ってくれたハヤシさん。彼の音楽はまさに「ここ」から生まれると言えるでしょう。

KingKORG

ライブやスタジオで、microKORGを長年愛用しているハヤシさんが、最近、気になって入手したのがKORG「KingKORG」。ライブ向けの本格アナログモデリングシンセサイザーとして登場した本機を、モーモールルギャバンのユコ・カティが弾いているのを見て以来、ずっと気になっていたのだとか。

ハヤシ:microKORGって、ある意味「割り切りの良さ」が人気の秘密だったと思うんですよ。だからこそみんなプリセット音でガンガン使うようになったし、それで一時代を築いたわけですけど、本機はその音色をさらに追い込める。作りたい音がすぐに作れるし、音作りの柔軟性もメチャクチャ高いです。特にEQのツマミには感動しました。ハイを上げても音痩せしないし、ローを上げたときの低音感も充分。フィルターのかかり具合もすごく滑らかでメチャクチャいいです。モーグのようなアナログシンセにも匹敵するんじゃないですか。microKORGに比べて鍵盤も広いので、フレーズ作りの幅も広がると思います。microKORGを使い倒した人は、是非試してみて欲しいですね。

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VOX「Tone Garage」(Trike Fuzz、Double Deca Delay)

続いては、VOX伝統のユニークな設計思想を継承したコンパクトエフェクター「Tone Garage」シリーズ。ハヤシさんが気になったのは、3オクターブの音域までカバーする歪み系エフェクターのオクターブファズ「Trike Fuzz」と、独特の温かみのある音が特徴的なアナログディレイ「Double Deca Delay」の2種類です。

ハヤシ:ファズは3台くらい持っているんですけど、「もうちょっとローを削れたらいいな」とか、「もう少しハイが足せたらいいな」とか、そういうふうに思うことが多かった。その中でもこの「Trike Fuzz」は、ローのバランスが絶妙です。ブーストし過ぎてもいないし、ペラペラでもない。ギターだけじゃなく、シンセにも使っています。一方ディレイも、さすがアナログだからか、通すだけで音が太くなるんですよ。ギターやシンセにかけると気持ち良くて、ずーっと弾いていたくなりますね(笑)。

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KORG Legacy Collection

普段、ハードシンセを中心に使用しているハヤシさん。いわゆるソフトシンセは2つしか持っておらず、そのうちの1つ、「KORG Legacy Collection」はハードシンセ並みに使用頻度が高いそうです。KORGの名機と呼ばれるシンセサイザーばかりをシュミレーションしたこのソフトウェア、どの辺りに魅力を感じているのでしょうか。

ハヤシ:ほとんどのソフトシンセって音作りの幅が自由過ぎるというか、プリセット音だけでも異常に多いので、それを聴いて選ぶ作業だけですごく時間かかっちゃうじゃないですか。でも、「KORG Legacy Collection」は長年使っていたアナログシンセが収録されているから、操作が分かりやすし、音作りもしやすいんです。「Polysix」や「MS-20」の音源をよく使っています。音の再現性も抜群で、特にMS-20は、「おお、俺この音作ったことある!」みたいな(笑)。オシレーターとフィルターの独特の感じが本当にリアルで、すごく重宝しています。

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現状に安住することを良しとせず、常に前のめりで進化を続けるPOLYSICS。そのモチベーションとなっているのは、「もっとお客さんを驚かせたい」、「もっともっと喜んでもらいたい」というハヤシさんのサービス精神であることは間違いありません。彼の「原体験」である筋肉少女帯やDEVOのように、最初は「なんだこりゃ!」と驚き、ときには違和感を覚えながらも、気づけば病みつきになっているような、そんな音楽をこれからも作り続けてくれることでしょう。


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