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2023.12.14

Tomoki Hirata「KORG Collection 4」インタビュー

日本ではゲーム「ビートマニア」、海外ではUKスタイルのハウス&ガレージの楽曲で有名な音楽プロデューサー/アーティストTOMOKI HIRATA氏。初期音楽ゲームのクラブサウンドシーンを支えたTOMOKI HIRATA氏が 17年ぶりにNew Album 「Requiem」をリリース。これら楽曲ではKORG製品とりわけ KORG Collection 4  が使われているようで、楽曲でどのように KORG Collection 4 が生かされているのかインタビューしました。



── KORG との出会いはいつでしょうか?

HIRATA:1990年に T2 (1989年発売のミュージック・ワークステーション/76鍵モデル) を購入したのが初めての出会いです。

── 今回のアルバム作成で KORG Collection 4 を使おうと思われた理由は?

HIRATA : それは KORG Lover だったからです。
1993年デビューシングル「Shine On Me」から今までリリースした全ての作品には必ずKORG 製品が使われていました。もちろん、近年の色々なメーカーのソフトシンセなども併用して制作していた時期もあるのですが、基本的にハウス&ガレージを作る自分にとって、フィーリングが合わないソフトシンセも多くありました。
そして当時、 TRITON のデモソング作成や初代 Electribe シリーズのパターン作成の仕事に携わったことから、KORG の方々との出会いがあり、彼らの音楽嗜好からどんな考えを持って音を作ってるか知ったのも大きかったです。そうした経験から昨今溢れかえるソフトシンセの中から KORG Collection 4 をチョイスすることは自分にとって自然な流れだったと感じます。

── KORG Collection 4 以外の KORG 製品はお使いになりましたか?

HIRATA : KORG Z1(1997年発売の物理モデル音源シンセ)とElectribe MX(EMX-1)のハードウェアのドラムサウンドです。特に Snare と Sub Snare は Punchy ですので王道の 4×4 UK Garage にフィットします。

── ニューアルバム「Requiem」で コルグ製品がどのように使われているのか教えてください。

「Sunshine」
Z1 の Speed Comp。この音色は当時ボイシング課の方が特別に作ってくれた Z1 のスペシャルサウンドで、25年前に KONAMI よりリリースされた「Beatmania Tomoki Hirata」というアルバムで使いまくった音色です。

さらにもうひとつのコンプとして KORG Collection 4 から MS-20 の Poly Stab もレゾナンスとカットオフを動かしながら弾き、Piano は TRITON の C.Grand Piano にコーラスをかけStrings は TRITON の Legart Strings をローカットして使いました。

「Don’t Stop」
「Missing Person JD」

全ての Snare と Sub Snare の音色を初代Electribe MX (EMX-1) のハードウェアから音色をチョップして出しました。

「Return Of I.C.B.」
Z1 の Speed Comp を Key で使い MS20 の 2タイプのベースを使いました。イントロから後半まで走る破壊的なベースは Randam Highpass で後半からはCyber Rev Bass を使いました。どちらもフィルターをエディットしています。

「La Luna」
MS-20 の Band Bass Pad や TRITON Extreme の Butterfly Sweep からOSC1 のみを使用した SE,ブレイクダウンには M1 でお馴染みの Lore を SE で使いました。

「Holding You Close」
Dark R&B Bass をエディットして使いました。

「Ocean Love」
カッティングギターに聴こえる音は Z1 の Speed Comp を打ち込みで入れ、TRITON の Motion Pad 系では Dolphin Ride と Motion Ocean を使いました。後半のリードサウンドは TRITON の Old&Analog にポルタメントをかけて使い Bass もTRITON の Deep’n Dark Bass を使いました。

「Sail Into The Night」
ブレイクダウンの SE として Pods In The Pad の OSC2 のみのサウンドを使いました。

「Requiem」
イントロに TRITON Extreme の Wormhole Piano という SE をエフェクトオフにした状態で使い、ベースにはフィルターをエディットした MS-20 の Deep Synth Bass に TRITON の E.Bass Finger 3 を時々短く加えたミクスチャーサウンドを作りました。他には TRITON の Fresh Breath をクワイアーサウンドとして使い、リフで TRITON の M1 Organ も使っています。

「Craving For You」
Requiemに続き、Fresh Breath を他のクワイアーサウンドと足して使いました。

── KORG Collection 4 を使ってみた感想をお聞かせください。

HIRATA:今回のアルバムで使ったのは TRITON,TRITON Extreme,M1,MS20 だったのですが、特に MS-20 は当時のハードウェアでできないことがたくさんあって重宝しました。UK Garage や Bass House を作る人にもオススメです。

── KORG Collection 4 の中でお気に入りの音源は?

HIRATA:TRITON と TRITON Extreme です。
このギアには特別な思い入れがあって、当時のハードウェアのプリセットをほとんど覚えていました。特に Motion Synth 系のプリセットサウンドの素晴らしさに感動した記憶があるのですが、当時はどうやってこれらの音色をハウス&ガレージの中に組み込んでいいのかわからない自分がいました。ですので、20年経って今回のアルバムで使いたかった音色を全て曲に組み込めたことは良かったです。

── 最後に今後の活動をお知らせください。

HIRATA:自分の作品のリリースやゲーム音楽制作などもありますが、今回のアルバムで7曲フューチャリングシンガーとして歌ってもらった音楽パートナーJulia Mintと結成しているCrystal Mintのアルバム作品をリリースできたらと思っています。

Tomoki Hirata

3つの異なったアーティスト名を持ちながら、 イギリス、アメリカ、ロシアの3大国のアーティストたちとダンスミュージックを作り続ける、 稀有な日本人の音楽プロデューサー/アーティスト。1993年UKでのファーストシングルをリリースし、1995年秋よりロンドンに移り住み、以後13年間に渡るUKでの音楽活動を開始。UK音楽シーンにおいては8枚のシングルをリリース。特に96年のファーストアルバム「Egoist」(BMGビクター)からのシングルカット曲、『Facing Up』はアナログレコードであるにもかかわらず15,000枚以上のセールスを記録、同曲は英国音楽誌の’97年度のベスト・ダンス・シングルのトップ10に選ばれる。

日本の音楽シーンにおいては1996年~2002年にかけて3枚のソロアーティスト・アルバムをリリース。特に2作目の「ビートマニア」(コナミ)は、5万枚以上のアルバムセールスを記録し、クラブミュージックを知らないゲームプレイヤー達に大きく影響した。 また、その時期MISIA等の日本国内アーティストを含めた数々のリミックス、プロデュース・ワークも手掛ける。

2006年からは新たな音楽性を求め、Tomoki HirataからLA Stylezにアーティスト名を変え活動。その後、アルバム「The LA Style Project」をリリース。 フューチャリング・ヴォーカル陣に、“アース、ウインド&ファイアー”のモーリス・ホワイト、伝説のソウル・ディーバ、ジョセリン・ブラウン、インコグニートのメイサ・リーク等、世界のトップに君臨するアメリカのソウルレジェンド達が名を連ねた。 2010年以降は、ヨーロッパ各国の若いアーティストたちの育成をしながら楽曲制作する形にスイッチ。2018年にはロシア在住のシンガーソングライター、ジュリア・ミントと共に、ノーザンスタイル・ダンスミュージックユニット、Crystal Mintを結成して新たな音楽シーンの創作に挑戦する。

さらに今年8月にはUK Garageのゴッドファーザー 、Grant Nelson やUKハウスデュオ 、Saisonら6人の海外ゲストアーティストを迎え、自身のデビュー30周年を飾るニューアルバムがDiverse Systemより発売された。

■アーティスト情報
https://crystalmint.info/

■最新リリース情報
Tomoki Hirata「Requiem」
CD | Bandcamp