2023.07.14
別所和洋「NAUTILUS」インタビュー
ご自身のバンド(パジャマで海なんかいかない)を始め、有名アーティストのサポート、レコーディングへの参加まで、幅広い活動をされているキーボーディストの別所和洋氏。
中山美穂さんの全国ツアー『Miho Nakayama Concert Tour 2023 -Trois-』(2023年3〜6月、全国7ヶ所)にサポート・メンバーとして参加される際にNAUTILUS-88をお使い頂くとのことで、ツアーのリハーサル現場にお邪魔してインタビューを行いました。
音楽的背景について
──音楽を始めたきっかけ、またプロを目指したきっかけなども教えてください。
別所: 音楽を始めたきっかけは、ヤマハ音楽教室に6歳の時に入って、エレクトーンの教室に通い始めたのがきっかけです。プロを目指し始めたのは、大学二年生くらいの時にジャズ・ピアニストの福田重男さんという方に習い始めたんですが、福田さんも大学は音大ではなく普通の大学を出てプロになっていたので、今からでもあり得るんだと感じて。音楽でプロになるというのが現実味を帯びた瞬間があったので、それがきっかけかもしれないですね。
──影響を受けたミュージシャン、音楽、曲などはどんなものですか。
別所: 真剣に音楽をやり始めたのが大学に入ってからで、大学の時にジャズが好きだったので、ジャズミュージシャンです。最初はビル・エヴァンスがきっかけでジャズピアノを弾き始めて。そこからはレッド・ガーランド、ウィントン・ケリー、ハービー・ハンコック、オスカー・ピーターソン、ブラッド・メルドーなど様々なピアニストに影響を受けて音楽をやってきました。
中学生とか高校生くらいの時に小室哲哉とかのサウンドをポップソングとして良く聴いていた背景もあるので、そういう感じの音楽も結構好きだったりしますね。
──大学卒業後、Yasei Collectiveに加入されるまでに少し期間がありますが...。
別所: 大学を卒業してすぐ仕事がたくさんあるわけではなかったので、バイトとかをしながら自分のジャズ的な活動をしていた感じです。
──Yasei Collectiveについて、加入したきっかけを教えてください。
別所: 松下マサナオがアメリカから帰ってきたタイミングで、セッションに誘ってくれて、それがすごく楽しかったようで。新しいバンドをやるときに誘われたという感じです。
──パジャマで海なんかいかないについてはいかがですか?
別所: Yasei Collectiveを脱退した後、一人の方が色々動きやすいというか、バンドとかはちょっといいかなという時期があって、自分で完結するのが良いなと思っていました。同時期にキーファーとかロブ・アラウージョとか、自分でトラックを流しながらジャズ的アプローチで演奏するスタイルのピアニストが結構いて、そういうものに影響を受けて、自分でそういうことをしたら良いかなと思ってソロ活動をしていました。
バンド構成になったきっかけは、SUGIZOさんと始めるSHAGというバンドのドラマーを探してほしいと言われて、パジャ海のSeiyaを見つけたんですけど、結局SeiyaはSHAGのメンバーにはならなかったのですが、Seiyaと一緒にHarunaちゃんが弾いていたのをみて、この人たちとやったら面白そうだなと思って自分のプロジェクトに招き入れました。
──すごく個性的なユニット名ですが、由来を教えてください。
別所: (松下)マサナオとひなっちさん(日向秀和)がやっているHHMMというユニットがあるんですけど、そこにゲストで参加した時に自分のプロジェクト名を何かつけたいという話をして。たとえば河原太朗はTENDREという名前でやっているし、そういう名前があった方が良いなという話をライブのMC中にしてたんです。
そしたら僕のアー写がパジャマを着て海で撮っているものだったので、マサナオがちょっといじって「パジャマで海なんか行かないみたいなのいいんじゃない」と言ってきて。普段はいじってきても流していたんですけど、それはしっくりきたというか。良いのかなと思ってその名前を付けました。
中山美穂さんのツアーとNAUTILUSについて
──バンドの構成はどうなってますか?
別所: キーボードが二人、あとはベース、ドラム、ギター、コーラス二人とサックスという感じですね。キーボードの二人の分担は、僕は基本的にピアノやエレピなどメイン鍵盤のパートを弾くという感じで、(渡邉)美佳さんはパッド系とか音色を選ぶタイプの鍵盤でした。あとはProphet6のアルペジエーター的なものをやったりしていました。
──今回の中山美穂さんのツアー・サポートのきっかけは?
別所: ベースの永田(雄樹)さん(JABBERLOOP、POLYPLUS)が今回のバンマスなんですが、僕が以前やっていたYasei Collectiveの時からの知り合いで、それがきっかけで呼んでもらいました。
──別所さんにはNAUTILUSをお使い頂いていますが、その役割と選んで頂いた理由は?
別所: 主にピアノとエレピの音色ですけど、サックスが一人ということもあって、ピアノとかエレピの音色を弾きながらホーン・セクション的な部分をサポートするのが必要で。それに際してスプリットして使ったり、一瞬で音を変えるためにセットリスト機能を使ったりしていますね。そういう機能がNAUTILUSの強みかなって思うのと、ピアノやエレピの音色が豊富で、個人的にすごく音が良いと思っているので今回使わせてもらいました。
──気に入っている音色や、ツアーで使っている音色を紹介頂けましたら。
別所: プリセットでは、美穂さんの曲なので80’sっぽいピアノの音を、プログラムA029のBright Chorus Grandの時代を感じるピアノの音を使っていたりします。あとはA063のEP Mark 1 Early Ampはちょっと歪んだ感じというか、それがRhodesの良さだったりするんですよね。ラインで出すときれいに鳴りすぎちゃうことが多いんですけど、ちょっとした歪み、実機っぽさが出るのが気に入って使ってます。他にはA000のNautilus Grand Dry/Ambなど使ってます。
──自分のバンドとサポートとで違う部分はどんなところでしょうか。
別所: 自分のバンドの場合は間違えても良いというか(笑)、それも味みたいな部分もありますけど、サポートは間違えたらダメなので。楽しむんですけど、責任感みたいなものもありますね。
──これまでコルグ製品で使ってきたものがありましたら、その思い出など。
別所: Yasei CollectiveのときにTRITONをメイン鍵盤で使っていて、それが初めてのシンセでした。僕はジャズ・ピアニストになりたかったので、ピアノしか触っていなかったんですよ。なのでTRITONでいろんな音色を作ることを知ったという感じです。そこから後は、M50とmicroKORGの二台という時期が結構ありました。最近だと、minilogueをリードシンセとして使うことも結構ありますね。
──今後の活動予定などありましたら。
別所: ライブ情報に関して、バンドのライブ情報は
https://pajaumi.com 、その他のライブについて
Twitterや
Instagramをチェックしてください。
>ライブ情報
──ありがとうございました。
別所和洋(べっしょ かずひろ)
自身のソロプロジェクトから発足したバンド、パジャマで海なんかいかないのリーダー
幼少期よりピアノを学び、大学時代にジャズに出会い、ミュージシャンを志す。
パジャマで海なんかいかないの他、SUGIZO主宰のSHAGのメンバーでもある。
これまでにライブサポートやレコーディングで関わったアーティストは、Ovall、藤原さくら、keishi tanaka、竹内アンナ、ACO、UNCHAIN、androp、アイナ・ジ・エンド、中山美穂、米津玄師など、多岐に渡る
インタビュー中、音色説明の際に実際にNAUTILUSを弾いて頂いた部分などを動画にてご紹介。
ライブ情報
2023.8.3
Live at SATIN DOLL
会場:六本木サテンドール
出演:
パジャマで海なんかいかない
OPEN 18:15 / 1st 19:00 / 2nd 20:30
チケット:
https://satin-doll.jp/reservation-2023-08-03/#form-title
2023.8.11
WHAT IS JAM? Vol.8 "THE 1st ANNIVERSARY"
会場:横浜 YOKOHAMA BAY HALL 出演:
SHAG、SPECIAL OTHERS、Afro Begue、
パジャマで海なんかいかない、HATAKEN、坪口昌恭、Yumi Iwaki、Kenichi Takagi、tatata5 / DJ: GIVE UP GUYS / VJ: 高岡真也
OPEN 16:00 START 17:00
チケット:
https://eplus.jp/whatisjam/