2021.06.10
SWING-O「opsix」インタビュー
──自己紹介をお願いします。
ピアニストでプロデューサーのSWING-Oと申します。自分はざっくりと、ブルースからヒップホップまで、あらゆる黒い現場(※ブラック・ミュージックなど)でやってきています。
──opsixといままでFMシンセと比べていかがでしょうか?
コルグがまさかのFM音源のシンセということで触らせて頂いたのですが、FM音源のシンセというと80年代の他社のシンセでヒットした商品があって「エディットが難しい」「感性で(エディットが)なかなかできない」「理屈がわかってないと音を作れない」イメージがあって、それは自分が(まだあまりシンセに詳しくない頃に)最初に触ったシンセのひとつがFM音源だったこともありました。
それに対してopsixはアルゴリズムから何からツマミやスライダーなどでパパパっとエディットもし易いので、まだちょっとしか触っていないのですけど面白いですね。配信ライブでは使ってみたのですけど、エグい音、宇宙的な音を表現するのにすごくいいなという感じで今、遊んでいます。
──こういうところでopsixを使いたいと思われる場面は?
これからあるツアーで使おうと思っていますが、同期(のオケ)がいっぱい鳴っている中でその上にシンセを被せるっていう状況が多いのですけど、そのときにキラッとする音を出すときにはすごく良いのかな。
あとはたくさんの同期の音が鳴っている中で抜ける音にしないと生で弾いている意味がないので、基本形を作ってからオペレーター・ミキサーやフィルターで明るさ加減を調整することで、これくらいだとちょうどアレンジに馴染んで、かつ弾いているのが伝わるバランスかなということに気を遣いながらやっています。
そういうときに特にキラッとした音やパッド系の音も各所で必要になるので、こういう音をいっぱい使ってみようと思っています。
──気に入っている音色を教えてください
デフォルト(※工場出荷時)で入っている中ではパッドな音(Ambi Sines)を、すでに自分でエディットしたのですけど、こういう伸ばし(=持続)系の音をペダル踏みっぱなしな状態でいじるだけでもすごく面白いっていうか。ひとまずこういったパッド系とデジタル・ピアノ、FM音源というとエレピの音が印象的だったのですけど、フェーダーとかツマミが付いていることで、アナログ系やPCM系(のシンセ)とは違うエディットの仕方で音が作れるのが面白いですね。オシレーターとアルゴリズム、モジュレーションをいじることで「キラッと感」を調整することができて、欲しい音になる。
現状(使っているのは)パッドとエレピ寄りのものですけど、リード系の音も研究中で、この時点ですでに良いなと思っています。同期(のオケ)の上で使う場合でも面白い、他のPCMやアナログ・シンセと違うエッジのある音がいっぱいあるので、楽しんでいます。
──opsixのデザインはどうですか?
opsixが楽しい理由のひとつは、ここ(=オペレーター・ミキサー)ですね。こういうシンプルに感覚的に使えるFMシンセというのが存在しなかったので、(パネル左側の)オペレーター・ミキサーがすごく良いです。ここをいじるだけで望んでいる音、望んでないのに欲しい音ができちゃう。
想定外な音だけどこれ良いっていう音が作れるという意味で、デザインによってインスパイアされることって多いので、個人的にopsixはオペレーター・ミキサー、これが素晴らしい発明じゃないかなと思っています。
──最後にメッセージをお願いします
もちろん色んなシンセの好きなタイプのものがあるんですけど、(今は)アンサンブルというものが大事な時代だと思うので、制作においてはどのようにでも重ねられてしまうわけですが、ライブのときはライブならではの音色作りとフレーズ作りにみなさんも気を遣うだけで「あのキーボーディストいいね」って言われますから。
そういうことに気をつけるときに、こういう他と違うタイプのFM音源のシンセを触ってみると新たな刺激があるかも知れないよ、ということをメッセージとさせて頂きます。
SWING-O(スウィンゴ)
SOUL PIANIST / SOUL PRODUCER / SOUL DJ
黒い現場にこの男あり。SOUL、HIP HOP、CLUB JAZZ、BLUES、を縦横無尽に横断するそのスタイルで、日本に確かな痕跡を残し続けるピアニスト、プロデューサー。これまでに関わったアルバムは200枚以上、45名義を含め5枚のソロアルバム、10枚以上のレコードもリリースしてきた。FLYING KIDSの現在のキーボーディストでもある。