2018.03.16
田辺恵二「KORG Gadget for Mac」インタビュー
作編曲家として幅広く活動をされている田辺恵二さん。KORG Gadget for Mac 初となるボーカル入りデモソングを制作していただきました。自身の音楽歴や KORG Gadget についてのお話を伺いました。
マイファーストシンセは Mono/Poly
──田辺さんのこれまでのキャリアを教えてください。
90年頃よりレコード会社からの依頼でBGM制作を始め、91年にCharaのデビューアルバムのシンセプログラマーとして参加をしたことがプロとしての本格的な活動開始となります。93年には古内東子のデビューアルバムから三作アレンジャーとしてキャリアを重ね、以降ゴスペラーズ、及川光博、The gardens、96年には自身のユニット「mode rock」でアーティストとしてデビューしました。
2000年以降は浜崎あゆみ、SMAP、w-inds.、AAA などの作曲やアレンジに関わり、近年はAKB48、SKE48、NGT48などのアイドルグループへの楽曲提供をしています。その他にも機材レビューの執筆や解説動画など、音楽を広げるための活動も精力的に行なっています。
──シンセサイザーで曲作りをするようになったきっかけは何だったのでしょうか?
中学生の頃に近くのデパートに陳列されていたシンセを触って衝撃を受けたのがきっかけです。MIDIの普及により多重録音ではなく、同期によるアンサンブルで完結できるようになり、演奏能力に秀でてなくてもシーケンサーである程度のクオリティの作品を作れるようになったのもきっかけの一つです。ちなみにマイファーストシンセは Mono/Poly です。
──ハードウェアからソフトウェアに移った時期と理由について教えてください。
最初のソフトウェアといえばMSXのFM音源だったと思います。その頃はアナログのシミュレーションではなかったので比べるということではなかったですが、電源を入れてデータをロードすればすぐに演奏できる便利さを感じていたと思います。
プロになってから最初に使用したソフトシンセは、2000年頃に発売されたNative Instruments社のPro-Five や B4、Battery、KONTAKT、2002年頃に発売されたIK Multimedia社のSampleTank を使ったのが初めてだと思います。
ガジェットは高音質なシンセサイザーコレクション
──KORG Gadget for Mac/iOS との出会いについて教えてください。
それまでのKORG Gadget for iOSは知っていましたが、ガジェットと言いながらも高音質なシンセサイザーコレクションという認識があり、Mac版になってGadget Plug-in CollectionとしてVST/AU/AAXプラグインとして使用できるようになり、普段使っているDAW環境に組み込めるというので発売と同時に導入したのが出会いになります。
──KORG Gadget で特に気に入っている部分はどこでしょうか?
VST/AU/AAXプラグインと互換性があるGadget Plug-in Collection、iCloudを使用したiOSとMacのデータ共有ですね。
海外のクリエーターを意識したデモソング
──KORG Gadget for Mac のデモソングはどのようにして制作されましたか?
実は何度か書き直していて、最初はJ-POPらしい曲調だったのですが、KORG Gadgetが海外のクリエーターも多く使っている点を意識して、近年の洋楽を要素として取り入れながらそこにJ-POPのメロディを乗せました。
──ボーカル入りのデモソングは初となりますがこだわりポイントは?
KORG Gadgetといえばインストゥルメンタル中心のダンスミュージックの印象が強かったので、しっかりとした歌モノとして、そしてバックトラックもいい意味でのKORG Gadgetらしくないアレンジをしてみました。
──今後の KORG Gadget に期待する機能などがあれば教えてください。
音楽系のガジェットだけではなく、あっと驚くガジェットも欲しいですね。例えばテキストジェネレーター的なガジェットで同期しながら、ニコニコ動画のようなリリックビデオをライブでできるようになったらすごく面白いと思います。
KORG Gadget for Mac
アーティスト・デモソング vol.1
"beltane33 - NEW DAY"
Produced by Keiji Tanabe
Lyrics and Vocal by wotabaru
Music and Arranged by beltane33
KORG Gadget for MacユーザーはKORG IDよりダウンロードが可能です。
田辺恵二
1991年よりCHARAや古内東子のデビューアルバムに参加。及川光博やゴスペラーズのアルバム、ツアーに音楽監督、作編曲家として関わり、以降はSMAP、浜崎あゆみ、柴咲コウ、岡本真夜、AKB48、SKE48、他多数の作品に作編曲家として参加。現在は作家活動の他、ネットTVのMCやラジオパーソナリティ等、他分野にも精力的に活動中。
2002年 日本レコード大賞金賞受賞(編曲)
2006年 日本レコード大賞金賞受賞(編曲)