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2017.01.27

フレンズ「microKORG S & nanoKEY Studio」インタビュー Powered by CINRA.NET

メンバー間の共通認識は、「やりたいことをやって、楽しむ」ということだけ
 
当初はひろせさんのお誕生日会でお披露目し、その後の発展は何も考えていなかったというフレンズ。しかし、やってみたら思いのほか楽しく、「せっかくだからライブもやってみたいね」という話になり、気づけばメンバー全員の温度もグッと上がっていました。2016年2月、前任ギタリストから三浦太郎さんにバトンタッチすると、活動はさらに活発化。4月に配信シングル“夜にダンス”を発表しました。

 


おかもと : バンド名が正式に決まったのも、「フレンズ結成」のネットニュースを出すギリギリのタイミングでした。私はこの名前、気に入っていたんですが、周囲の評判があまりよくなくて……。検索にも引っかかりにくいし、ダサいから「レジェンド」っていう名前が候補に挙がってたり(笑)。

でもたとえば、ゆずさんだったり、いきものがかりさんだったり、日常にありふれた名前で活動している人たちは、みなさん大スターで子どもから大人まで知られているじゃないですか? それを信じて「フレンズ」を推し続けました。あ、あと、お笑いコンビは「ン」と濁点が入ってるコンビはブレイクするからいいって、ひろせくんがずっと言ってましたね(笑)。

 


ひろせ : 「音楽的にどういう方向性でいくか?」みたいな話し合いも全くなかったんです。お互い、やりたいことをやって、楽しむっていうことだけが共通の認識としてあって。“夜にダンス”のあと、ミニアルバムを作ることになったときも、まずは僕らが楽しくやっている雰囲気が伝わればいいな、と思っていましたね。ただ、サウンドの質感にはこだわりました。特にドラムの音はかなり重要だと思いますね、時代感が出るから。

 


おかもと : 歌詞を書くとき、「神泉系」というのは頭の片隅にありました。私、キリンジさんの歌詞がすごく好きなんですよ。パッと聴いた瞬間に「最高!」って思っても、あとから読み返してみると、何だかよくわかない。“千年紀末に降る雪は”(2000年)とか、何回読んでもいろんな考えが出てくる。そういうのが大好きなんです。 でも、一方で西野カナさんの“会いたくて 会いたくて”(2010年)みたいな、ストレートに届く歌詞もすごく好きで。『ショー・チューン』を作っているときは、キリンジさんと西野カナさんの、ちょうど間くらいの歌詞が書けたら最高だなって思っていました。

フレンズ結成以前から、2人にとってキーワードとなっている「神泉系」。「最初、深い意味は全くなかった」とひろせさんは言います。

ひろせ : バンドをやっていると、よく「どういう系?」って聞かれるんですが、これに対する正解ってなんだろうって、いつも考えていたんです。そういうときに、「○○系です」って答えられたらいいなっていうのがまずあって。「神泉系」の由来は、えみそんとの最初の楽曲制作テーマが神泉だったから、というだけなんです。で、ニュース出しするときにそのワードを入れてたら、いつのまにか「フレンズ(神泉系バンド)」みたいな感じでタグづけされるようになってて(笑)。

 


おかもと : 音楽好きの方のブログなどにも、「神泉系、つまり渋谷の喧騒から1駅離れたような、ちょっと落ち着いたサウンド」みたいに紹介してもらってて。「あとからめっちゃ意味づけしてくれてる!」と思いました(笑)。

ひろせ : やっぱり、「〇〇系」というのは自ら積極的に言っていって、自分たちのイメージやブランドを形成していくべきなのかなって思いました。今後、「それ、神泉系だよね?」って言われるようなフォロワーが生まれてくれたら、すごく嬉しいですね。


「1人1バンド」という考えは自分たちらしくない。フレンズが提示する新しいバンド観
 
また、フレンズの特徴として、複数の活動をかけ持ちしているメンバーが多いことも挙げられます。たとえばおかもとさんは、科楽特奏隊ではシンセ&ボーカル、南波志帆さんのサポートではベースを担当し、SCOOBIE DOのナガイケジョーさんとはツインベースのユニットを組み、アイドルへの楽曲提供もしています。ひろせさんはnicotenで今もベースを弾き、長島さんも様々なバンドにゲスト出演、またはサポートとして参加しています。

ひろせ : 「1人が1つのバンドにしか所属しない」という時代ではないなと思ってて。そういった固定観念を壊してくれたのは、川谷絵音さんだなって思う。昔はバンドをかけ持ちしていると、「どっちが本命?」なんて聞かれたと思うんですが、川谷さんがゲスの極み乙女。とindigo la Endの両方でメジャーデビューして作家活動もしてからは、あまりそういうことも言われなくなったと思っています。

何より、やりたいことって、やらないと意味がないと思うし、やりたいことを形にしていないのは、音楽として一番よくないんじゃないかなと思うんです。やりたいことがあるなら、全部やればいいし、キツかったらやめればいいだけの話っていうか。

 


「バンドは運命共同体」などと言われた時代もありましたが、「このメンバーとじゃないと、音楽をやっている意味がない」といった、一蓮托生的な考え方ではなく、もっとゆるやかなつながりでフレンズは成立しています。近すぎず、遠すぎず、程よい距離感で音楽を楽しめるのは、やはりセカンドキャリアだからこその「余裕」から生まれているのではないでしょうか。

おかもと : 確かに、そうかもしれないですね。ファーストキャリアで経験した、いろんな成功と失敗がフレンズに昇華されていると思う。音楽的なことだけじゃなく、たとえばCDの発送作業も、やったことある人がノウハウを伝えるなど、みんなの経験が持ち寄られていい関係ができていますね。

そんなフレンズですが、「より多くの人に自分たちを知ってもらいたい」という強い野望も、メンバー全員が持ち合わせているのだとか。

おかもと : こないだワンマンツアーを回ったときに、「それぞれの場所の、1番大きいところでワンマン公演をやりたい!」ってMCで叫んだんです(笑)。それは、言っただけで終わらせるのではなく、ちゃんと実行したい。どんどん大きな会場でやって、どんどんいろんな人と会いたいです。

 


おかもと : “ビビビ”には、「イエー!」ってかけ声をするところがあるんですが、最初メンバー5人で言ってたのが10人になって、100人になって。1000人、そして1万人が、「イエー!」って言ってくれるようになったら、めっちゃ嬉しいだろうなぁって思うんです。私たちの声が聞こえなくなるくらいの「イエー!」を聞きたい! その日を目指して、これからも頑張ります。