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2014.04.01

南波志帆 with 矢野博康「KAOSSILATOR」インタビュー

ところで、制作サイドについてお伺いします。制作環境ではどのような機材を使われているのでしょうか?

矢野:基本は PCメインですね。ハードウェアだと、過去にTRITON RackとMS2000でほとんど作っていた時代もありましたね。あとはビンテージのドラムマシンを集めてたりとか。僕自身ドラマーというのもあって、叩くというインターフェイスが好きなんですよ。ちょうど僕が中学校くらいの時に、PCMのドラムマシンが浸透し始めて。志帆ちゃんが楽器店に行ってKAOSSILATORを触ってたように、僕も楽器店でパッドを叩いてましたね。

南波:店員さんになめられないようにしました?(笑)

矢野:いや、普通に学ランで行ってた(笑)。

南波:あー!なめられてるぅー!(笑)

矢野:(笑)そういう時代があって、その頃の経験が当然いまも活きてますね。

矢野さんご自身の初期の頃はMS-20もお使いになっていたと聞きました。

矢野:MS-20最高ですよね。音ヌケが良いんですよね。今のデジタルのmicroKORGなどにもそういうところがありますよね。「コルグの音」というか。学生時代、先輩にMono/PolyとかPOLY-800を触らしてもらって「良いなぁ」と思ってましたし。僕は当時からドラマーでしたけど、実はドラムよりシンセ買った方が先なんですよ。POLY-800とかDWシリーズの音は今も恋しくなります。中古でPOLY-800のラック(EX-800)を見つけたら買おうと今でも思ってますよ(笑)。あの辺の音は、最近のコルグ製品にも受け継がれてますよね。高音域でチリッっていう感じとか、これは他にはない質感ですね。この、上のほうでチリッっていう感じ…これ最高なんだよな。

そういえば、第一回のYANO MUSIC FESTIVAL 2010(※)の時、矢野さんのドラムセットの横に、Schoenhutのトイピアノが置いてありましたよね?

矢野:そうです。The Granola Boysっていう、キリンジのお兄さん(堀込高樹)達と不定期に活動してるバンドがあるんですけど、ドラムの横に赤いトイ・ピアノを置いて使ってますね。他にもトイピアノは持ってるんですけど、Schoenhutは音がかわいくて好きですね。The Granola Boysの時は、トイピアノとKAOSSILATORを並べて、トイピアノを弾いたり、ハイハットとスネアを叩きながらKAOSSIALTORを鳴らしたりしてました。実は南波さんの曲でも、『はじめまして、私。』のメロディとかはSchoenhutの音なんですよ。グロッケンっぽく聴こえるんですけどね。トイピアノの音って、微妙にピッチが甘かったりするところがかわいいし、好きですね。

※2010年2月23日(@渋谷duo MUSIC EXCHANGE)・24日(@渋谷O-EAST)に開催。The Granola Boysは23日に出演。

南波さんと言えば、透明感のある歌声と幅広い音楽性が特徴的ですが、プロデューサーである矢野さんとしてはどのように捉えていますか?

矢野:ものすごく個性的な声だし、どんな曲でも彼女が歌えば彼女の作品になるっていうのは、やっぱり声に特徴があるからだと思いますね。その一方で、曲調をあまり選ばないというか、例えばロックっぽいものも、シンセがたくさん鳴っているようなエレクトロとかテクノっぽいものも、アコースティックギター中心のものにも、どんな音楽にも合うんですよね。そういう歌い手って、意外と居そうで居ないかなと思いますし、魅力ですよね。作家陣のひとりとしても腕の振るい甲斐があります。

南波さんの作品からは、“ポップスの最新型”といった雰囲気を感じます。

矢野:そうですね。例えば50年代や60年代のポップス歌手って、ジャズっぽいものや、ラテンっぽいもの、カントリーっぽいものも全部やってましたよね。南波さんも、今のところジャズの要素はあんまりないですけど、他のエレクトロ、ギターポップ、アコースティック、バラードなどはやってきていますから。いわゆる“歌手”という存在がこれまでずっとやってきたことを、南波さんも現代風にやってるのかなと。

すごく独特ですよね。若い人にはもちろんですけど、これまで色んな音楽を聴いてきた人にも響く感じがしますよね。

矢野:そうですね、昔ながらのポップスの系譜を継承していますから、大人の方も反応しやすいと思います。一方で、若い人向けに音圧高めの曲もあるし、色んな層に受け入れられやすいんじゃないでしょうか。

さて、9/1にイベントがありますね。

南波:主催イベントです。「THE NANBA SHOW 相当衝撃的なスクールポップ!! Vol.5」です。

ひと息で言い切りましたね(笑)。

南波:(笑)はい。

ついに5回目ですね!

南波:そうですね、歴史ができてきましたね(笑)。

今回の南波さんのバンドメンバーは?

矢野:あ、僕ドラムだ。

もちろんそうですよね(笑)。あとキーボーディストとしてSUNNYさんも参加されますよね。

矢野:はい。

今回も豪華メンバーですよね。

南波:そうですね。どや!という感じですよね。

楽しみですね。

南波:はい。プロデューサー自らドラムを叩いてくれますので。

今後チャレンジしてみたいことなどをお聞かせください。

南波:主催ライブもそうですけど、やっぱりライブが自分の存在価値を見出せた場所なので、これからもライブをどんどんやっていきたいですね。「ライブが良い」と言われるアーティストが真のアーティストだとずっと思っていますので、私も「南波志帆ってライブが良いよね」と言ってもらえるようなアーティストになれるように頑張りたいですね。あとは『Choice』でラップの曲にチャレンジしましたので、南波志帆の楽曲でも日本語のラップの曲に挑戦してみたいです。そういう意味でも今年は幅が広がっていますね。あとツアーをしてみたいですね!全国ツアーとか、いずれはホール・ツアーができるようになりたいですね。それにKAOSSILATORも、南波志帆オリジナル・モデルが作れるよう、その道も極めていきたいです。

では最後に、コルグ・ホームページをご覧の皆さんにひと言メッセージをお願いします。

南波:KAOSSILATORシリーズは、触れば音が出ますし、自分ひとりでも遊べますし、手軽に始められるのが良いところだと思います。ライブで披露するまではいかなくても、おうちで遊ぶ道具としても楽しいですし、1日があっという間に過ぎたりします。楽器の経験がなくても、音楽に興味がある方なら、まずはKAOSSILATORを触ってみて欲しいですね。演奏している姿もかわいいし。

矢野:触って楽しい楽器が多いからコルグは好きですね。楽器を弾けない人でも音を出す喜びがありますよね。楽器は敷居が高いと思っている人も、ひとつ買って触っているうちに何となく作曲できるようになったりするかもしれませんし、入り口になりやすいものが多いですよね。今はiPadなどのアプリもありますから、みなさんももっと遊びながら音楽をやってみて欲しいなぁって思いますね。

お忙しい中、ありがとうございました!

南波:ありがとうございました。

矢野:ありがとうございました。楽器の話になると、どうも熱くなっちゃいますね(笑)。

南波志帆

1993年6月14日生まれ。福岡県出身。
プロデューサー矢野博康との出会いを機に、自分の個性的な声を最大限に活かせるシンガーとしての道を歩むことを決意。2008年11月、“マジック・ヴォイス”と表現される、ゆるふわかつフレッシュで、透明感ある歌声を武器に、ファースト・ミニアルバム「はじめまして、私。」でLD&Kよりデビュー。2009年9月にリリースしたセカンド・ミニアルバム「君に届くかな、私。」が、各CDショップのインディーズチャートにランクインし、インディーズシーンで注目される存在となり、翌年6月にメジャーデビュー・ミニアルバム「ごめんね、私。」をポニーキャニオンよりリリース。
2011年7月20日には、作曲に山口一郎(サカナクション)、作詞に小出祐介(Base Ball Bear)を迎えたTOWER RECORDS限定販売のセカンド・シングル「こどなの階段」を含む待望のファースト・フルアルバム「水色ジェネレーション」をリリース。
2012年3月7日発売のサード・シングル「少女、ふたたび」がMBS・TBS深夜ドラマ『家族八景 Nanase,Telepathy Girl's Ballad』の主題歌に抜擢され、大きな反響を得たことは記憶に新しい。
また、『カルルとふしぎな塔』や『アマールカ』では、ゆるふわヴォイスを活かした声優としての出演、NHKワンセグ放送「ワンセグ☆ふぁんみ」では、ヒゃダインとのツインMCとしてレギュラー出演しており、多方面で活躍の場を広げている。
彼女の凛としたすがすがしいたたずまい、まっすぐで存在感のある歌声は数多くのミュージシャンとクリエイターを魅了し、今後の動向に注目が集まっている。

矢野博康

1970年12月24日生まれ。やぎ座。大分県大分市出身。
出版社勤務を経て、1997年Cymbals結成。1998年LD&Kから2枚のミニアルバムをリリースした後、1999年ビクターよりメジャーデビュー。9枚のシングル、4枚のオリジナルアルバムを発表後2003年解散。バンド活動と並行しながら、ドラマー、作編曲家、プロデューサーとしての活動を開始する。DAWを駆使しながらロック~ポップ~ダンスミュージックまで網羅する幅広いプロデュースワークはアーティストからの信頼も高い。