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MR-2000S
1-BIT STUDIO RECORDER
関連情報
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溝口肇
チェリスト/作曲家
私がデビューした頃はCDが出てきた頃で、録音には24トラックの最新鋭デジタルレコーダーを使ったのですが、自分のチェロの音が好きと思うことがありませんでした。アナログレコーダーで録った音は好きでしたが、他は何か違和感がありました。1年前ベスト・アルバムで1曲、チェロとハープのデュオをDSD録音しましたが、非常に音が良かったことがずっと頭の中に残っていて、次回もDSDに挑戦したいと思っていました。
今回、自分のレーベルでCDを作るにあたって、無志向性マイク2本とMR-2000Sで録りましたが、初めてデジタルレコーダーで録音された自分の音が「あ、良いな!」と感動しました。テレビがアナログからデジタルに替わり、今は4K、8Kという時代が始まりつつありますが、DSDはその4K、8Kなのかなと思います。テレビが「見える」ようになったように、音も「聴こえる」ようになった。ホールで音質のバランスを取る際、マイクを10cm高くしたり、離す、近づけることが「聴こえる」のです。これが大変なんですよ(笑)。素晴らしい機材で良いものを作るには、作り手にも多くのスキルを要求される、と言うことを再確認しました。チャレンジしがいのある、とても楽しい作業です。
溝口さんがDSD録音にチャレンジしたニュー・アルバム『Cello Bouquet (チェロブーケ) 』は2013/11/21発売です。
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本間昭光
ミュージシャン/プロデューサー
スタジオでのマスターをアナログにこだわってきた私も、もはやほぼ全面的にデジタルを許容しなくてはならない状況になり、そんな中、周りのエンジニアが次々とKORGのDSD機器を導入しているのを見て興味を持ち、実際にいろいろな環境の元で聴き比べをしてみました。本当に目から鱗な状況でしたね。およそ、考え得る様々な環境での録音ソースを様々な環境でモニターしてみたのですが、その自然さに圧倒されました。全てがナチュラルかつパワフル。音場の上下左右奥行き感全てが好印象でした。
折しも個人スタジオ をリニューアルしていたので、迷い無くMR-2000Sを導入したのです。お陰様でストレス無くマスター制作が執り行えております。
一番のメリットは制作時のイメージと同じ状況で音源の受け渡しが可能だと言うことですね。もちろん相手によってはここまで音質にこだわってもPCやスマホでしか聴かない方も多いですが(苦笑)、MR-2000Sを手にしてからは今までより深い自信を持って提出出来ています。
AudioGateも様々なファイルへの変換をより良い環境で操作できるので重宝してます。簡易編集も便利ですしね。
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上畑正和
作曲家/ピアニスト
KORGのDSD録音機器は発売当時から使わせていただいてます。MR-2は、可動式の高音質マイクが内蔵されたのが一番ですね。フィールドからライブまでいろいろ活用しています。置いたとき、3脚に取り付けたとき、手持ちのときで角度を変えれる便利さを実感しました。ヘッドフォンアンプの音も良くてモニタリングがしやすいです。スピーカーがあれば文句無しですが欲張り過ぎでしょうか。MR-2000Sは、なんといっても5.6MHzの録音でしょう。これはつたない説明よりもホール録音の音をダウンロードして実際に聴いていただくのが一番ですね。
DSDフォーマットについてですが、素直に音がいいと感じています。最初に聴いたのは、チェンバロの作品集をホール録音したときです。あっけにとられる程に驚きました。録音であんなに空気感を感じたことは初めてです。それ以来、逆に信用しすぎないように意識する程です。
あと、AudioGateは、いろんな変換が出来るのでDSDだけでなく他のフォーマットの変換に使うことも多いです。変換時の音質がストレートで気に入っています。DSDファイルの簡単なエディットができるのは助かります。
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世武裕子
ミュージシャン
私がメインで使用する楽器はピアノで、今まで何度もピアノの録音をしてきました。鍵盤を通じて身体に伝わる感覚や、目の前の空間に広がる倍音がピアノの魅力のひとつだと思うのですが、その体感を音源にそのまま残すというのが、とても難しいと感じてきました。DSD録音を体験して、ピアノ録音の可能性が広がっていくのかなという可能性を感じて嬉しくなりました。
DSDでレコーディングした「やもり」という楽曲では、等身大のピアノの音色が音源として表現された実感があります。今回は弾き語りに挑戦をしたのですが、ピアノの音というのは本当にふくよかで、自分の歌声を掻き消してしまうようなところもありました。この録音を経て、今度は歌声もピアノと同じように響かせながら、DSD録音に挑戦したいなと思います。
一部のマニアの中でだけではなく、こうして良い音で聴いてもらえる機会が増えるといいですね。私自身もiPhoneやiPodで音楽を聴く機会が圧倒的に多くなってしまっていますが、それだけではちょっぴり悲しいですから。
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山田ノブマサ
レコーディング・エンジニア/プロデューサー/ドラマー
マスターはなるべくアナログに拘ってきましたが、メディアの入手が難しくなる現状で、この先のマスターをどうしようかと思っている時にKORGのDSDレコーダーMR-2000Sに出会いました。
DSDで録音するメリットの一番目は、メディアの入手に苦労しないこと、アナログテープのヒスノイズが無い事、アナログテープに比べてスペースユーティリティーを含め取り扱いが楽、と云った所でしょうか?音質面でもPCMに比べ気に入ってます。
最近のiPhoneやスマホに代表される音楽再生装置でのMP-3等の圧縮音源の音の悪さに悲観していましたが、少しずつ高音質配信がリスナーに理解されてきた現状には期待を持っております。
そんな中でDSDオーディオの音質は従来のPCM録音に比べると ”音の奥行き感”、”ダイナミックレンジ”、”ステレオ感”、等全てが好印象ですし、MP-3等の圧縮音源とは別次元の音ですね。ナチュラルな感じはDSDならではです。低域に関してはまだアナログテープには及びませんが、いわゆるPCM臭さが無いのが好印象です。
当社(amp'box Label)では昨年から高音質配信(配信元:e-onkyo music)を始めましたが、これにはDSDによる配信が最適だと感じています。今後、リスナーの機材環境が整えばさらにDSDオーディオの可能性は広がると思います。また、当社では音質面を考慮してDSD配信音源は5.8MHz、2.8MHz、ともにdB Technology社のD/AコンバーターのアナログOUTから、それぞれダイレクトにKORGのMR-2000S のIN PUTに入力し録音しています。コンピュータでのサンプリングのコンバートは行っておりません。
そして、DSDの5.8MHz、2.8MHzも共に配信音源の販売価格はPCM 96KHz/24Bitと同価格としDSDオーディオの普及に努めています。
AudioGateは現状ではDSD音源の簡易編集が出来る唯一のソフトウエアだと思いますが、amp'box Labelの配信音源の編集にも使わせて頂いております。また、色々なファイル形式に対応しているのも便利です。
amp'box Label の配信音源に関するサイト
http://www.e-onkyo.com/news/25/
http://www.e-onkyo.com/search/search.aspx?label=amp%27box
オオルタイチ
ミュージシャン
自分のアルバムを作った時、CD用とは別に、DSD配信用にリマスタリングしてみたんです。
するとCD用の音とは全く別物になり、特に高音域の音像が、自分の求めていたイメージにぐぐぐと近づきました。
DSDに対して当初は「ハイファイなんやろうな」くらいの想像しかしてませんでしたが、実際にはアナログのような奥深さもあって…その場の雰囲気や、空気感まで録音できてしまう。
DSDには、かつてない強い可能性を感じています。
オフィシャル・ウェブサイト
藤田厚生
有限会社エフ 代表取締役 / レコーディング・エンジニア
1998年頃までは、3/4インチの業務用のPCMデジタル録音機やDATレコーダーはリニアPCMの16bit/44.1あるいは48KHzサンプリングが基本フォーマットでした。その後、音質の改善のために量子化ビット数は16bitから24bitに、さらに次世代業務用録音機器として88.2K/96KHz、176.4/192KHzといったハイ・サンプリングに対応した業務用録音システムも導入され始めました。
また、これらのPCMフォーマットと同時に、新しいデジタル・フォーマットとして、DSDフォーマットが発表されました。当時は、このDSDがPCMとは異なるフォーマットであることさえなかなか理解されない時期がしばらく続きました。1bitオーディオとも呼ばれるDSDフォーマットは、その高音質さ故に、高音質を特徴としているSACD制作のためのフォーマットとして認知されてきました。オーケストラ、ジャズ・トリオ、ピアノ・ソロ、ギター・ソロ、ボーカル~これらをDSD録音、あるいはマルチトラック録音されたセッション素材のミックス・ダウンの記録用としてDSD録音機材を使用し、プレイバックで音が出た瞬間、アーティスト、プロデューサー、エンジニア、コントロール・ルームにいるスタッフ達の顔はほころびます。ライブ録音であれば圧倒的な臨場感、ジャズ・トリオであれば、それぞれの楽器が絡みあって創り出される躍動感や空気感、ソロ楽器であれば、その演奏者の指の動き、ボーカルであれば、細かなニュアンスが伝わってきます。最近、PCMのハイ・サンプルでマルチトラック収録し、それをDSDでミックス・ダウン~マスタリングといったプロセスで、独特の質感を持った高音質なCDも登場しています。
さらに、インターネット配信を利用するPCオーディオが話題になってきています。そのなかでも注目されているのが、従来SACD用などの高音質プロダクツとして2chマスタリングされたDSDマスター音源を、DSDフォーマットのまま配信するという超高音質の配信です。パッケージ・メディアの再生系を通さない、新鮮な音が聴けるようになったのです。この音を聴いてしまうと、もう後戻りはできません。DSDというフォーマットが如何に優れているかが実感できます。これらの再生環境はまだまだ充実していませんが、今後、こういった高音質の音楽の楽しみ方も変わってくると確信します。
有限会社エフ オフィシャル・ウェブサイト
DSD配信&PCM24bit/96kHz~192kHz高品質配信『e-onkyo music』
*藤田厚生氏はe-onkyo musicがダウンロード販売する「american clave」DSDファイルの製作に携わっています。
高木正勝
映像作家/音楽家
2010年9月のサウンド&レコーディング・マガジン「Premium Studio Live vol.2」の録音の時にDSDの音に感動し、自分でも使ってみたいと思い、MR-2を手に入れました。
届いてさっそく自宅ピアノで試してみましたが・・・
す、すばらしい!!!
びっくりしました。
コンデンサー・マイクをセットしてDAW立ち上げて、、、とやっていたときより、MR-2をポンと前に置いて録音した方が圧倒的にそのままの音、演奏が録音されていました・・・
もっと早く手に入れていればよかったと本気で後悔しました。
演奏も楽器も、その日その日で変わるので、できるだけ簡単にすぐに録音できるようにしたかったのですが、夢が叶いました。
うわー、これはみんなに教えたいのか、独り占めしておきたいのか分かりませんね。
オフィシャル・ウェブサイト
高野寛
ミュージシャン
pupaのレコーディングで権藤くんがMRシリーズを使っていたので、音を聞いて興味を持ちました。
まずマイクで録った音のリアリティに驚きました。ミックスにMR-2000Sを使ったときの音の変化も新鮮でした。
従来のミックスはどんな方法でも少なからず音を圧縮して、つまり情報を削ってまとめていく作業が必要でしたが、DSDだとマルチで聴いていた状態をそのままの印象で2mixにまとめられることに、新しい可能性を感じます。
今はMR-2をライブの録音によく使っています。
ライン録音の音源とDSDのマイク録音をうまく混ぜて、リアルな音像のライブテイクが作れないか、模索中です。
オフィシャル・ウェブサイト
古川尚篤 (The Corona)
音楽家
様々な人が、自分の作品を作って、
それをインターネットで手軽に発表できる時代。
常に時は変わり、景色も変わって行きます。
僕はアナログの音が好きなので、最近の作品はアナログ・マルチ・レコーディングを好んで行なってますが、レコーダーはスタジオにあっても、テープが入手困難な様子。
音はいいけど、そのままアナログで発表することもリスクが大きいし、
アナログ・ミックスを終えても、結局CDにしてしまう。質感はもちろん残るけど、デジタルで録音した方が良い場合も多々あったりと、なんにせよ、どこか妥協をしなければいけない事が続いていました。
そんな時に出会ったのが、MR-2000Sでした。
僕がアナログに求めていた、音のニュアンス
小さな音のエネルギー、楽器の違い、シンバルの揺れる感じ、
コンガの本皮のアタック、ピアノの弦の響き、部屋の床や壁の響きまで、
繊細に記録されています。
先日、スタジオ・ライブを、アナログとMR-2000Sの両方に一発録音したのですが、
曲によっては、MR-2000Sの方が雰囲気が優しく、気持ちよく聞こえるものあり、
そちらを採用したものもあります。
なにより嬉しいのはその音をそのまま配信できる時代になったこと。
また、AudioGate(v2.1以降)がフリー・ダウンロードになった事で、誰でもそのサウンドを気軽に聞く事ができるようになったのは非常に嬉しく思います。
誤解無く、録音された作品を聞いてくれる方に、届ける事が出来る事は、制作するモチベーションもあがります。
アナログの雰囲気や、テープの音までそのまま、マスターにするのはもちろん、 今、そこに聴こえる音をそのまま記録するにも、MRは最高です。
最近では、なにげなく写真をとるような感覚で、作曲中のアイデアを含め日々の音もMRに残しています。
聞く人に想像を与えてくれるレコーダーです。
the coronaウェブサイト
Photo by 前田達哉
杉山勇司
レコーディング・エンジニア
職業上、最先端の技術はいつでも興味の対象です。MRシリーズのすべてを試しています。
マスター・レコーダーとしてはもちろん、最も高品位なプレイバック・マシンとしてとても重宝しています。
DSDの音自体には、いまだに評価の分かれるところではありますが、これはDSDという技術が、現時点最も進んだ技術であることの証明であるとも言えるでしょう。多くの場合、聴き慣れない音に対する評価は大変難しいのです。デジタル機器が登場した時も同じことが起きていたのは、皆さん記憶に新しいと思います。
だからこそこの新しい音を、ぜひ自分自身で判断し、選択してもらいたいと思っています。そして、まだ評価の分かれる今こそ、そのチャンスなのだと思います。
プロフィール: SRエンジニアからキャリアをスタート。その後レコーディング・エンジニア/プロデューサーとして多数のアーティストを手がける。主な担当アーティストは、ナーヴ・カッツェ、藤原ヒロシ、X JAPAN、L'Arc~en~Ciel、dropz、睡蓮など。 リットーミュージックより著書「レコーディング/ミキシングの全知識」を出版。サウンド&レコーディング・マガジン、プロサウンドなど専門誌での執筆も多数。
JUZU a.k.a. MOOCHY (NXS / CROSSPOINT)
DJ / Producer
コルグのDSDレコーダーは、MR-1を発売当初から使っています。毎週のように各地でDJ、LIVEをする身としては、とにかく軽量化された本品は肌身離さずと言ったところです。 そして音。MRシリーズでは、DSDをはじめ、PCMなど様々なオーディオ・フォーマットで録音できますが、やはりDSDでの録音は、今までとは違うものを感じます。他のフォーマットと比べると音の空間性が、今までよりも、より感じられるはずです。
DJ用にアナログからデジタルに変換してCD等に焼くときも、MRシリーズに取り込んでからやっています。CDR等に直接焼いたりするよりは格段に良いですね。AudioGateはソングの分割・結合・フェード処理・音量調整・L/Rバランス調整など、簡単な編集もできて、欲しい箇所をCDに焼いて使えるので、このAudioGateが付いているのもこの製品のいいところだと思います。
自宅スタジオでもMR-1000で5.6MHzのマスターを作っています。今までの、テープやCD等のメディアを使って、ミスをしないように緊張しながら録音していた作業が、とにかく録音状態でひたすらトライし、それを後で良い箇所を編集して使う、と便利になったのはHDの最大のメリットだと思います。
個人的には反対にあるオープンリールのような昔ながらの手法にも、興味が有りますし、うまく最新のものと、古き良きものを混ぜて、今の時代にしか出来ないものを創っていけたらと思っています。
NXS ウェブサイト
myspace
twitter
三浦瑞生
レコーディング・エンジニア
あれは確か、小曽根真さんがプロデュースする近藤和彦(Sax)さんの、同録を頼まれた時のことです。
さて、同録ということでマスター・レコーダーを何にしようかと考えた時に、MR-2000Sの情報を聞きました。
以前MR-1000は外録で使ったことがあって、DSDの滑らかな音色と空気感はとても良いなぁと思っていました。MR-2000Sはそのスタジオ仕様ということで、第一候補となったのです。
録音当日スタジオで楽器の音決めの際、仮録りした各楽器の音をMR-2000Sと違うレコーダーとで聞き比べをしました。結果、各ミュージシャン、プロデューサー、もちろん私も含めて、全員一致でMR-2000Sに軍配を挙げました。
高域の艶やかさ、中域の厚み、ボトムの豊かさがあり、そこに楽器がいるかのようなリアリティな空気感、アンサンブルの中でも音楽が生き生きと表現される感じがとても気に入りました。もうマスト・アイテムですね。
MIXER'S LAB ウェブサイト
藤本敦夫
ミュージシャン
まず、驚いたのは、「すぐ目の前で演奏しているように聴こえる」ということでした。
デジタル録音は、登場した頃、クリアで分離の良い音に驚きましたが、反面印刷された文字で構成された文章を読んでいるような、音楽表現的には遠さがありました。それで、いろいろ工夫して音楽らしくする必要がありました。
しかし、コルグのMRシリーズで、DSD録音された音を聴いた時、クリアで全部の音が良く聴こえるのに、演奏している人たちがそこにいるのが見えるような感じがしたのです。(演奏しているのが自分たちだったので、自分たちの演奏を同時に自分達で見ているような不思議な感じでした)
MR-1からMR-2000Sまで使いましたが、それは、空気のような存在、それがあって初めて音楽が本来の姿で伝わるような存在ではないかと思いました。
藤本敦夫ウェブサイト
飛澤正人
エンジニア/コンポーザー/アレンジャー
ここ数年、音質やクオリティを向上させることにある一定ラインの限界を感じていた。昨今の配信においてもデジタルの進歩とは逆行する動きになっており、音を届ける立場の人間にとって、とても悲しい現状であると言わざるを得ない。
しかし、ここへきて音楽制作の救世主が現れた。それがこのDSD / 1Bit オーディオ・フォーマットの出現である。私は昨年末から、コルグMR-2000Sを使用しているが、非常にコンパクトでありながら使いやすいインターフェイス、そして何と言ってもDSDIFF 5.6MHzでの録音音質はアナログに近い躍動感が得られ、リアルな音場をよりクリアに表現してくれる。PCM再生では得られなかったトラックダウン時の細かなレベリングもそのままに再現され、薄くかかったもやを取払ったかのような透明度のある奥行き感は、このDSD / 1Bit でしか表現できないものだ。また製品にバンドルされているオーディオ・フォーマット変換アプリケーション「AudioGate」も秀逸である。制作したマスターをCDクオリティの44.1KHz / 16Bit WAVにダウン・コンバートする際にも5.6MHz / 1Bit DSDで記録されたエッセンスを残したままフォーマット変換を行なってくれるので、DAWでバウンスしたファイルとは別格のマスターを作成することが可能になった。
導入以来、すべてのセッションのマスター音源をこのMR-2000S /AudioGate により制作しているが、各アーティスト/制作陣から絶賛の声をいただいていることからも、今、業界が待ち望んでいる「音」がこの「DSD」だと言っても過言ではない。近い将来、音楽レコーディングの標準フォーマットとなり、より芸術的な作品をこの「DSD / 1Bit オーディオ」と共に生み出すこと。
それが私の切なる望みである。
飛澤正人ウェブサイト
Photo by Makoto Tanijiri
オノ セイゲン
作曲家/レコーディング・エンジニア
なぜDSDで録音するのか?-「いい録音」とは時空を飛び越えるようなスリリングな経験を提供してくれます。録音で重要なことは、1:「そこ」でいい音が出ていること、2:マイクの位置が正しいかを確認すること。違いが判る人にとっては、これは何ものに変えがたい重要なことで、たまたま「そこ」に居合わせた人は、証人として「そこ」を体験できています。例えば「そこ」は、70年代のニューヨークなのか、2010年の東京なのか?個人の社会背景や経験に基づくものなのでその違いはよく判らないという人が多いのも事実ですが、ワインでもギターでも価値が判らない人に高いものをすすめるつもりはありません。違いが判る人にとっては、こんなに素晴らしいレコーダーがあることを知ると、再現するための録音をするならDSDということになります。インプットとアウトプットの音が、同じであることが理想で、DSDは、(他のフォーマットと比較してはるかに手軽に)それを可能にしたフォーマットなのです。
オノ セイゲンウェブサイト
渋谷慶一郎
音楽家
ATAK015 for mariaという僕にとって初めてのピアノ・ソロのアルバムをMR-2000Sでレコーディングしてから、DSDは僕にとって欠かせないテクノロジーになった。
音楽に関わる様々なテクノロジーに触れてきたけど、現在の技術的なカッティング・エッジはここにある。
音の解像度が圧倒的に高く、この技術の出現によって音楽においてはバーチャル・テクノロジーという言葉は完全に死語になった。
限りなく現実に近い、音の中に入って行ける感覚がここにはある。
MR-2のように個人が所有可能なツールが出てきたことによって、この事実はより広く知られることになるだろうし、それを願っている。
ATAKウェブサイト
ジョー奥田
ネイチャー・サウンド・アーティスト
自然界に存在する音の中で、最も繊細で、かつ最もダイナミック・レンジが広い音は自然音だと思う。その自然音の美しさを捕らえようとした時に、最大の威力を発揮するのがDSDオーディオだ。静寂な森の空気感、生き物達の気配や息使い、また波打ち際の水が砂にしみ込み弾ける泡の音。そういった極めて繊細 な音のディテールを、DSDはずば抜けた解像度で表現してくれる。今までのデジタル・オーディオではあり得なかった別次元の音の世界。それはまさに、DSDがデジタル・オーディオの究極の形であるということを明確に証明している瞬間だと思う。
Joe Okudaウェブサイト
The Nature Sound Orchestraウェブサイト
Illustrated by Wisut Ponnimit
ZAK
音楽家/ライブ&レコーディング・エンジニア
MRシリーズは発売当初から使っています。ライブでの2ミックスではMR-1、マイク録りの場合はMR-1000、MR-2000S はスタジオで5.6MHzでの録音に使用しています。あるときライブで、ミキサー卓からの2ミックスをMR-1で2.8MHzで録って441kHzに変換してCDRでミュージシャンに渡したら、「自分たちがスタジオで録ってミックスしたものより良かった」と言われたことがあります。音楽の臨場感はライブの演奏にかなうものはありませんが、それを2ミックスでも今の最高の状態で記録できるのは最大のメリットです。またスタジオ録音のマスターもほぼDSDで録っているのも、アナログを除いてDSDが今最高のフォーマットだからです。
身近なところでも、今よく聞かれている音楽はmp3に変換されていることがほとんどだと思うのですが、PCMからmp3に変換した場合と、DSDをmp3に変換した場合とでは、圧倒的にDSDからの場合の方が元のエネルギーというか、気配のようなものが残っていると思います。
オーディオ・フォーマット変換ソフトウェアの「AudioGate」も音が好きなので、DSDからPCM、PCMからmp3などほとんどすべての変換に使用しています。