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MS-20 mini

心震わす“あの音”。
その本質はいつの時代もここにある。

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MS-20 -> MS-20 mini 開発者インタビュー

1978年のMS-20開発に携わったエンジニアが、35年の時を経て再び責任監修を務め完成したMS-20 mini。この完全復刻が成し遂げられる背景には、エンジニアの様々な想いや、強いこだわりが数多く存在していました。
そこでこのページでは、MS-20・MS-20 mini開発の中心人物である2名へのインタビューの様子をお届け。開発者の熱が伝わるインタビュー動画、ならびに今後の展望も垣間見えるインタビュー記事を掲載します。

動画インタビュー

インタビュー

- オリジナルのMS-20をMS-20 miniとしてリバイバルするにあたり、その開発に至る経緯や、エピソードがあればお聞かせ下さい。

(以下、三枝・西島 連名での回答)
monotronやmonotribeで、アナログならではの音作りの楽しさを若いユーザーへ伝えることができたと思っていますので、次のステップとして、より本格的なアナログ・シンセサイザーを提案したいと思っており、そこでMS-20を題材に取り上げました。MSシリーズの基本デザインや、仕様の踏襲はiMS-20をはじめとしたソフトウェア楽器で既に経験済みでしたし、それにKORG Legacy Collectionでも「アナログ音源を入れて欲しい」という要望は聞こえていましたので、開発に至る過程は迷いもなくごく自然でした。

MS-20 miniの開発では、35年前のMS-20開発当時の事がいろいろ思い出されました。トランジスタ選別方法についての悩み、ゴットホルドマイヤーさんから「MS-20は理科教育の教材としても使えるね」と言われたこと、黒板サイズの超大型MS-20を作ったことなどなど…。 

- MS-20 miniがオリジナルMS-20よりも優れているポイントはありますか?

オリジナルMS-20には無かったMIDI IN端子やUSB端子を追加したことで、現在の音楽制作システムにもスムーズに導入できるようになった点や、オリジナルMS-20よりも一回り小さくしたことで、省スペース性に貢献できたことです。特にこのコンパクトになったボディについては、実際に使ってみるとその価値をお分かり頂けると思います。

- どうしてオリジナルMS-20の86%の筐体サイズや、ミニ・ジャックを採用したのでしょう?

我々は、オリジナルMS-20をとてもリスペクトしています。だから、オリジナルと全く同じサイズで作ってしまうと、それはオリジナルへの冒涜になってしまうと思ったんですね。だからあえて、サイズについてはオリジナルとは異なるものにしました。また、少し小さめの方が格好良いとも思いました。

- MS-20 miniの設計にあたり、一番苦労した部分は何ですか?

トランジスタの決定にはずいぶん手間取りました。ペア特性、超微小電流領域での特性やバラツキなど、トランジスタの仕様書には載っていないことがアナログ・シンセサイザーの性能に大きく影響するものですから。

- MS-20 miniでは、KORG35またはSallen-Key OTAのどちらのフィルターを使っていますか?

前期型のMS-20に搭載していたKORG35の回路をMS-20 miniでは採用しています。ユーザーの好みは色々あると思いますが、独特の存在感ある音を生む前期型のフィルターの方が復刻にはふさわしいと思いました。

- monotronやmonotribeのように、MS-20 miniの回路図をユーザーへ公開する予定はありますか?

monotronやmonotribeの回路図と同様、ユーザーの方々の要望によっては検討するつもりです。ただ、monotronやmonotribeに比べてMS-20 miniは複雑なので、改造の難易度は非常に高くなっています。

- MS-20 miniはMIDIコントロール・データを受信してそれに反応しますか?

鍵盤情報のノート・データは受信して発音します。レゾリューションの荒い(128段階)のMIDIデータで、アナログ・シンセであるMS-20 miniの各パラメーターをコントロールすることは、アナログ・シンセならではの、階段のない滑らかなパラメーター変化を実現できませんので、設計当初から、MIDIに対する対応は、あえてノート・データだけの対応で考えていました。開発者の思いとしては、アナログ・シンセの醍醐味を味わって頂きたいので、MIDIコントロールではなく、リアルタイムに実機を操作しながら、サウンドのダイナミックな変化を楽しんで頂きたいと思っています。

- 将来、SQ-10などMSシリーズの他のモデルを復刻する予定はありますでしょうか?

アナログ・シーケンサーを実際に触ったことがない人に、是非その面白さを伝えてみたいという気持ちはあります。現代においてそれが一体どの程度必要とされているのか、MS-20 miniへのユーザーの反応を見極めてからの判断だと思っています。

- それでは最後に、お二人にとっての“MS-20 mini最大の魅力”とは何でしょうか?

それはひとえに、シンセサイザーの原点を知ることができる点ですね。出来合いの音ではなく、自分で一から音をつくる楽しさをMS-20 miniで知って頂けたら、開発者として本望です。あなたのマスコットとして机の上においてやってください。

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