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2017.04.07

Tom-H@ck「monologue & KORG Gadget for Mac」インタビュー Powered by CINRA.NET

作曲家として大成功したあと、なぜ自身が表に立つ道を選んだのか?
 
アニメ『けいおん!』が社会現象となり、以降は作編曲家として引っ張りだことなるTom-H@ckさん。アニメ『僕は友達が少ない』や『ヤマノススメ』のサントラ制作、ロックバンド「SuG」やアイドルグループ「マジカル・パンチライン」の総合プロデュース、でんぱ組.inc、T.M.Revolutionなどへの楽曲提供と、多岐にわたる活動を展開していきます。

 

そして2015年からは、オーイシマサヨシとのユニット「OxT」と、コンテンポラリークリエイティブユニット「MYTH & ROID」を始動させるなど、自分自身が表に出るアーティスト活動も行うようになりました。

Tom-H@ck : 当時、所属していた事務所の社長から「お前はアーティスト活動をしたほうがいい」と勧められて。百石さんにも弟子入りした当初から、「君はアーティストが向いていると思うよ」と延々と言われ続けていたんです。「そんなに周りからたくさん言ってもらえるなら、やってみようかな……」と言う感じで、実は5年くらい前から準備はしていました。

でも、消極的にやっていても上手くいくわけがない。作編曲家としての活動の合間にアーティスト活動という「片手間感」は、やはり気づかれてしまうんでしょうね。どこにデモを持っていっても話が通らなくて。「こんな状態で続けていても、やる意味ないんじゃないか?」と思って、やめようかと考えた時期もあったくらいです。

 
 

『けいおん!』の大ヒットの後、膨大な仕事が毎日やってくるなかで、またしても彼は、作編曲家としての自分の将来像に「限界」が見えてしまいます。そうして、アーティスト活動に本腰を入れることに。

Tom-H@ck : 昔から僕は映画音楽、特にハリウッド映画のサウンドトラックが大好きだったんです。それならもっと突き詰めてやりたいことが、自分にはあるんじゃないか? って気づいてしまって。

そのとき思ったのが、「アーティストとして表に立って、それが少しずつ認知されて、『Tom-H@ck』の顔が世界中に知れ渡ったら、物事が大きく進むんじゃないか?」ということ。もともと、自分が目立つことよりも、誰かを支えたりお世話にしたりするほうが向いているタイプなんですけど、それでもアーティスト活動に本腰を入れたのは、「その先のチャンス」に繋がるんじゃないかと思ったからなんです。

もちろん「アーティストとして成功したい!」とか、「自分を100%表現したい」という気持ちもあるけど、自分が業界で発言権を持てるまでの力をつけていく。そのとっかかりがアーティスト活動だったというのは、揺るぎない事実ですね。

 


さらには会社の社長に。夢は「日本のPixar」
 
そして2016年、ついに彼は「株式会社TaWaRa」を設立。その代表取締役に就任しました。音楽制作を中心に、アーティストプロデュースやレーベル事業、コンテンツ企画、ポータルサイト企画、さらには教育事業などの企画・製作を行う会社です。

Tom-H@ck :みんな笑うけど、「絶対にやってやろう」と思っていることがある。まずは年商50億規模の会社にしたい。そして「日本のPixar」を作りたい。

もともと映像や映画が大好きですし、まだ公にはできない情報なのですが、映像コンテンツに関するものをすでに着手しています。音楽に特化した会社なので、そこから派生するもので強力な映像作品を作りたい。日本の映像作品を見ていると、「サウンドが弱い」と感じることが実は多くて。ハリウッド映画の音楽やSEにはとても太刀打ちできない。

10~20年スパンで考えているような大規模な目標なのですが、日本でまだ誰もやったことがないような総合エンターテイメント会社を作り、ハリウッドに殴り込みをかけたいんです。それを僕が生まれた、この日本から発信すること。それが一番大きな目標です。

 


MYTH & ROIDこそ、究極の「総合エンターテイメント」を具現化する集団
 
4月26日にリリースされるMYTH & ROIDの1stアルバム『eYe's』も、それとリンクする映像作品に基づくコンテンツをTaWaRaで制作しているという。すでに小説も執筆中で、数年後の出版を目指しています。

Tom-H@ck :MYTH & ROIDのテーマは「感情の最果て」。『eYe's』では、怒りや狂気、愛といった感情を、1曲ごとに表しています。執筆中の小説は、ある義眼師が「最果ての感情」を義眼に込め、何百年も先の未来でそれが「虹色の化石」となって発見されるところから始まるんです。僕と、MYTH & ROIDの作詞を担当しているhotaruとの共同執筆。つまりこのアルバムは、小説のサントラなんです。

 
 

MYTH & ROIDのメンバーも流動的で、『eYe's』には複数のボーカリストがレコーディングに参加しているとのこと。単なるユニットではない「コンテンポラリークリエイティブユニット」として、スケールの大きな展望を抱いているようです。

Tom-H@ck : MYTH & ROIDでは、「アーティスト」の固定概念もぶち壊したい。今後はボーカリストだけでなく、映像チーム、ダンサー、それらすべてを内包したユニットに進化していくと思います。MYTH & ROIDを「日本初の総合エンターテイメントユニット」にするのが目標です。もちろん、その先には世界進出も見据えて。