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2016.08.24

北園みなみとKORGのコラボレーションが実現!G-ROKS「80's Room」の機材を駆使したオリジナル楽曲を製作!

G-ROKS

外装も一新したG-ROKS

G-ROKS

くつろげる空間の2階ラウンジ

音楽スタジオ「G-ROKS」、すでに使ったことがある方もいらっしゃることと思いますが、東京・下高井戸にあるプロ御用達の音楽スタジオ。もちろんプロ以外の方も利用でき、プロ・スペックの機材でバンド・リハはもちろんのこと、個人練習まで可能というゴージャスなスタジオなのです。

そんなG-ROKSが2016年4月に内外装ともにリニューアルし、これまで以上にラグジュアリーな空間に生まれ変わり、入っただけでテンションがかなりアガるスタジオになりました! そしてこのリニューアルの目玉のひとつと言えば、何と言っても「80’s Room」ではないでしょうか。その名の通り、80年代に大活躍した楽器たちがギッシリ!なかでもキーボードの充実ぶりはもはやスタジオの域を超えています。

具体的には…

・ Fender Rhodes Student Model
・ Sequential Circuits Prophet 5 (rev.2)
・ Sequential Circuits Prophet 600
・ Oberheim OB-Xa
・ YAMAHA CP-80
・ YAMAHA DX7
・ Polysix
・ M1
・ Wavestation
・ BX-3


といったラインナップで、アナログからデジタルまで何でもアリの充実度!しかも、全機種をミキサーにつないで音出しできるというのですから驚きですし、電源電圧の異なる海外機種については専用の電源に接続できるあたり、やはりプロ仕様のスタジオならではですね〜。

80's Room
80's Room

80's Room(3 Studio)

少々マニアックな目線で言いますと、Prophet 5ですね。その後登場するrev.3と比べると、使用パーツの違いでシンセっぽい音色が得意でレア度の高いrev.2を用意しているところは、マニアには目が離せないところかも知れません。

そしてFender Rhodes Student Modelは、80’sではありませんがレア中のレア・モデルと言えるでしょう。Rhodesファンの中でも存在を知っている方はかなりのマニアかと思います。80’s Roomに常設のこの1台は、恐らく60年代中頃に生産された、Student Modelの中でも比較的初期に近いモデルと思われます。ユニークな造形とポップな色調で、ミッド・センチュリー的ムードがプンプンしています。サウンド的には木製鍵盤のMark I Stageに近いものがあります。

キーボード以外では、ドラムはYAMAHA YD9000R、ギター/ベース・アンプもハイエンド・モデルを揃えています。ぜひ一度、試してみてはいかがでしょうか?

  

さて、そんな超ゴージャスなG-ROKSで、あるレコーディングが行われました。
なんと!あの北園みなみが新曲を80’s Roomでレコーディングするなんて…!

北園みなみと言えば、2012年夏にSoundCloud上にアップした曲が話題を呼び、ジャズやフュージョン、ビッグバンドをベースとした曲作りと洗練されたアレンジ、そして時にユーモアたっぷりな歌詞のボーカルという、これまでになかった音楽で各方面から注目を浴び、作詞、作曲、アレンジ、各種楽器演奏もこなす文字通りのマルチな才能にあふれたアーティスト。とはいえ、本人のメディア露出はこれまで一切なく、知られている情報は長野県在住ということと、1990年生まれであること、この2点のみという、謎多きアーティストです。

往年の音楽ファンでしたら70年代末頃から盛り上がりを見せたシティ・ポップの流れを汲んでいるようで、そのまんまの直系ではない、例えば歌詞の言葉の選び方などや、シンセなどの電子音の使い方などにちょっとしたユーモアや90年代生まれを思わせるような新しさもあり、パッと聴きでの口当たりの良さだけでなく、何度も聴いていくうちにすっかりハマってしまう奥の深さが独特なのです。

これまでに『promenade』(2014年10月)、『lumiere』(2015年7月)、『Never Let Me Go』(2015年12月)の3枚のミニアルバムと7inchのアナログ盤『ひさんなクリスマス』をリリースし、アーティストから企業にいたるまで、幅広い方面で作編曲を手掛けています。

  • 『Never Let Me Go』(2015年12月)

  • 『ひさんなクリスマス』アナログ盤[7inch (2015年12月)

  • 『lumiere』(2015年7月)

  • 『promenade』(2014年10月)

レコーディングは某月の2日間にわたってG-ROKSで行われ、北園みなみ氏自身が自宅で制作してきたドラム・トラックと、自身の演奏によるベースのトラックを土台に、ギターとエレピやオルガンなどのレコーディングを初日に、アルトサックスとシンセサイザーなどのダビングを2日目に、というスケジュール。ギターとサックス以外のキーボードはすべて自身による演奏です。キーボードは上記機種に加え(Oberheim OB-Xa除く)、KRONOSも使用。

G-ROKS

 

そうして完成したのがこの曲 「On the Sunny Side Up Street」。直訳すれば「目玉焼き通りで」といったところでしょうか。ここからは、楽曲完成後に行いました北園みなみへのインタビューの模様を。「On the Sunny Side Up Street」を聴きながらお楽しみください!

興をそそられる光景でしたね

G-ROKS
G-ROKS

──今回、G-ROKSの80’s Roomでレコーディングされることになりました経緯と言いますか、キッカケはどういうことだったのでしょうか?

北園みなみ(以下、北園):CD『Never Let Me Go』(2015年12月発売)を聴いて下さった方の中にコルグの方もいらっしゃって、その方々とのやりとりから今回の企画が実現しました。

──そうでしたね。80’s Roomに入られた時の第一印象は?

北園:貴重な楽器がいくつも並べられているのは興をそそられる光景でしたね。それでも広々していて開放感すらある空間でした。

──80’s Roomのキーボード類は初めて触られたものが多かったのでしょうか?

北園
:そうですね。DX7だけは10年くらい前に友達の家で弾いたことがあります。久々でちょっと感激しました。

Fender Rhodes Student Model

Fender Rhodes Student Model

80’s Room

Polysix、CP-80

BX-3

BX-3

DX7、M1、Wavestation

80's Room

Oberheim OB-Xa、Prophet 5、Prophet 600

──今回のレコーディングでご使用になった各キーボードの印象と、今回の楽曲「On the Sunny Side Up Street」の中でのそれぞれの役割をお聞かせください。

北園:CP-80、Fender Rhodes Student Modelは、発音の構造に関わる演奏感にそれぞれ特徴を感じました。それぞれ主にバッキングで使用しています。

BX-3は、トーンホイールをシミュレートした楽器ですが、それ自体のキャラクターを持つので、あえて使用する価値もあると感じました。ドローバーは上下を強調して(9本あるドローバーのうち、低音、高音のドローバーを大きくしたセッティング)場面転換のアクセントとして効果的に使用しています。

DX7は実感を持って懐かしいと言える質感でした。パンフルートやマリンバを主に副旋律として使っています。

KRONOSは快適な弾き心地で、ビンテージ・シンセ主体の中に現代的な要素を、ということで加えています。ストリングスと、バッキングのFMエレピに使用しました。

比較的新しい楽器のM1とWavestationは定番として引継がれている音色を楽しめました。得意なベルをアナログ・シンセと重ねてみたりしています。

Prophet 5、Prophet 600は、この楽器が得意とする音色は普段使うことが少なく興味深いところでしたが、想像以上にクラシカルで武骨でした。シンセ・ブラスやパッド系のストリングスで使用し、脇役に徹しています。

Polysixは軽く抜けの良い感じで、リードやベースに最適でした。 

── 今回、FMエレピの音色はKRONOSで作った音色でしたが、KRONOSを選んだ理由は?

北園:主要なバッキングに現代的な質感を足したら面白いと思い、弾いてみて鍵盤のタッチが良好だったこともありKRONOSを使いました。

── 今回の楽曲でもDX7のマリンバが登場しましたね。

北園:この音色、好きなんです(笑)

── これまでの北園さんの楽曲にもわりと頻繁に登場していますよね?マンガで言えば手塚治虫とかディズニーとかで同じキャラクターを色々な作品に登場させるスター・システム的な感じと言いますか、音楽では冨田勲さんの作品にもそういうところがありますが、そういった辺りの意識があってのことなのでしょうか?

北園:いや、特にそういうことではないですね。シンプルに好きで使っているという感じです。

4時間くらいで作曲

On the Sunny Side Up Street

──今回の楽曲「On the Sunny Side Up Street」はどういったイメージから作曲されたのでしょうか?

北園:企画の決まった頃に書きかけていたバッハをもじったようなメロディから広げて、80’s Roomということで、当時のフュージョンをイメージして作曲しました。

──作曲にはどれくらいの時間がかかりましたか?

北園:4時間くらいです。

──え!たった4時間ですか?

北園:そうなんです。これを地図にして、今回はDAWに使用予定のシンセサイザーと同じ傾向のソフトシンセを立ち上げて、リアルタイム録音で入力しながらアレンジを進めました。

──北園さんの楽曲といえば、リスナーの耳を惹き付ける精緻なアレンジも大きな魅力ですが、アレンジは作曲後ですか?それとも作曲時にある程度のイメージがある感じでしょうか?

北園:自由に作ることが許されているので、作曲と編曲の境界は曖昧で、しいて言えば作曲と編曲が同時に進行します。一方で、メロディとコードを作曲した後から行う一般に編曲と言われる方法をとることもありますし、曲の雰囲気によって使い分けています。

──今回は同時進行だった感じですか?

北園:そうですね。

──今回の楽曲の「ここを特に聴いて欲しい!」というポイントは、どんなところでしょうか?

北園:Polysixで弾いたリードのわりと自由に歌っているところは気に入っていますね。それとRhodesは曲中で地味な存在ですが、なかなか良い仕事をしていると思います。

── レコーディング時は「無題」でしたが、ミックス後に「On the Sunny Side Up Street」に決まりました。これはジャズ・スタンダードの「On the Sunny Side of the Street」がヒントになったのでしょうか?あるいは、タイトルの由来がありましたらお聞かせください。

北園:どちらかと言えば「On the Green Dolphin Street」でしたが、意味は特にないんです。

── 北園さんのような楽曲を作りたいと思っている方もたくさんいらっしゃることと思います。そのような方々に、北園さんからのアドバイス、例えば「こういうことを勉強すると良いですよ」というようなことがありましたらお聞かせください。

北園:責任を持ってアドバイスさせていただくとしたら、多くのミュージシャンがすでに口にしていることを繰り返さざるを得ないのですが、やはり色々な音楽を聴いて感覚で判断して自分なりの方法で体得していくことが大切だと感じます。そのために何か学ぶべきことがあるとしたら、それはたぶんアーティストにはそんなに重要なことでもない気がします。

詳細な編集が効かないだけに特別な愛着が

──これまでミニアルバムを3枚リリースされていますが、今回のレコーディングでこれまでにはなかった新しい試みや、興味深かった点などがありましたらお聞かせください。

北園:シンセや電気楽器などの実機を演奏して収録することは、これが初めてでした。後からMIDIほどに詳細な編集が効かないというのも、その場で仕上がりの演奏質感を決定して知ることができるために、なんだか特別な愛着を持てる気がします。

──今回のレコーディングで大変だった点は、どんなことでしたか?

北園:一日中演奏したのと、タッチの違う楽器に録音しながら慣れてゆくのは苦労しました。でも、向かう楽器が変わると気持ちが切り替わって乗り切れました。

ただいま制作中です

──2014年10月の『promedane』、2015年7月には『lumiere』、そして12月には『Never Let Me Go』とリリースが続きました。2016年のリリース予定は?

北園:年内はまだ制作中です。来年リリースを目指しています。

──お!楽しみにしています!これまでの活動にプラスして、今後チャレンジしてみたいことをお聞かせください。

北園:大編成のバンドを作るとか、ユニットを組むとか考えています。あとオーケストラを書くことです。

──さて最後になりますが、コルグ・ブランドの印象についてお聞かせください。

北園:定番に限らず、面白い電子楽器を作るブランドという印象がありますね。これまでにない楽器がまたどんな形で生まれてくるのか楽しみです。

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