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2014.04.01

永田こーせー ✕ 辻本美博「TMR-50」インタビュー

 

都内を中心に活躍するダンス・パフォーマンス・バンド「EMPTY KRAFT」のサックス・プレイヤー永田こーせー、そして大阪の人気インスト・ジャズロック・バンド「カルメラ」で同じくサックス・プレイヤーとして活躍する辻本美博。この東西を代表する若手プレイヤー二人が、互いのサックス論から練習方法、そしてKORGの最新チューナー・メトロノーム・レコーダー「TMR-50」の魅力まで語ってくれた!

掲載日:2012年11月13日

永田こーせー(以下、N):辻本君はバコバコ吹く感じですよね。僕も近いのかもだけど(笑)。

辻本美博(以下、T):僕は元々クラリネットで、サックスは大学のビッグバンドから始めたんです。だからクラシックのサックス経験がないんですよね。だからサックス=バコバコ吹く物っていう入りなんです。それは自分の強みであり弱みでもあるなって思うんですけど、吹奏楽でサックスを吹いてきた人がバンドにシフトする時に、吹奏楽の感じが抜けない人と、ちゃんとシフトして格好良く演奏出来る人っているじゃないですか?どんな違いがあるんですかね?

N:僕は吹奏楽から入って、大学もクラシック専攻で、大学の途中から独学でジャズを勉強し始めたんですけど、僕から見てもシフト出来てない人は本当に多いですよね。

T:大学時代にやっていたビッグバンドでも、吹奏楽の感じが抜けてない人、ちゃんとシフト出来てる人がいて、その違いって何なんだろう?ってここ数年思ってるんですよね。思い切りの良さなのかな?とか。

N:頭が音色に対して柔軟かどうかって事なのかな。クラシックのサックスが全ての人だと、ジャズでも同じ音色のイメージで吹いちゃうだろうし。それか、逆にそこまで考えていないのかもしれないですよね。ただ単純に他の音を知らないって言うか。ジャズと吹奏楽の違いを知ってるか知らないかの違いってだけかも。

T:確かにそうかもしれないですね。僕は中学生の時から大学のビッグバンドを見に行ったりしてたんですけど、本当に衝撃的で、カルチャーショックを受けつつ、そういう世界があるんだ!って分かったのもあるし。決定的にビッグバンドやりたい!って思ったのも山野ビッグバンドジャズコンテストの影響だったりしますし。

N:山野ビッグバンドジャズコンテストのCDはめっちゃモチベーション上がるよね(笑)。僕の場合は音楽への入りがギターで、バンドやりつつ吹奏楽も始めたって感じでしたね。だから吹奏楽以外の音楽、例えばロック以外でも色々なジャンルの音楽を聴いてたから、クラシックからのシフトも比較的簡単だったというか。

普段の練習方法を教えてもらえますか?

T:僕は楽器力の基礎練習と、アドリブとかのフレーズ練習とに分けてやってます。楽器の練習は、しっかり時間の取れる時にリードを選ぶところから始めて、ロングトーン、指の半音階のスケールの練習、あとはディミニッシュスケールをやる時もあるし、全キーのブルーススケールや、メジャースケールとハーモニックマイナースケールをやる時もあるし…という感じで、スケールの練習が多いですね。それをやった後に、チャーリー・パーカーを吹いたり、最近聴いた格好良い曲をコピーしたり、これをやろう!って自分で取り上げたジャズのスタンダードの曲の中のツーファイブのフレーズを探してみたりとか。そういう事をやってますね。

N:僕も同じですね。ほとんど同じです。基本的に外で練習しているので、あまり荷物を持っていかないです。最近だとiPhoneで『iReal b』ってアプリ使ったりして練習していますね。ツーファイブ・ワンとか。でもやってる事は同じだなって思いましたね。スタンダードな練習方法というか。どこに時間を割くかっていう割合は違うと思いますけど。最近はTMR-50とiPhoneの2つだけ持って練習に行ってます。

T:TMR-50は本当にすごい便利です。サウンド・バック機能は本当に画期的だと思いますね。楽器を始めたばかりの頃って、チューニングがズレていても、自分の音が高いか低いか分からない事ってあるじゃないですか。その時期はチューナーのメーターを目で見て判断すれば良いと思うんです。でも、ある程度吹けるようになると、高いか低いかを自分で判断出来るようになりますよね。その時はメーターを見ずに、音だけ聴いて合わせた方が結果的により良いチューニングが出来ると思うんですよね。最終的にはチューナーが無くても自分の耳だけで判断する事も出来るようになると思いますし。その、耳を鍛える一番効率の良い方法だと使ってみて思いました。あと、サウンド・バック機能の音域も広いですよね。今持ってるチューナーはサウンド・アウト機能しかなくて、要は自分で設定した音で、しかも1オクターブくらいしか鳴らないのに、これは自分で吹いた音の基準音を返してくれますし、その音域も3オクターブくらいあるのでめちゃめちゃ便利です。

N:USBでパソコンと同期出来るのも便利だと思います。録音した音をパソコンに取り込む事はもちろんなんですけど、逆に音源を入れて聴く事も出来ますし(WAVのみ対応)。だから練習したい曲をTMR-50に入れて聴きながら練習や録音が出来る。しかもレコーダーの音も良いですよね。最近は、クリックを聴きながらコードトーンを自分で吹いて録音して、その上からフレーズを練習するっていう、一人マイナスワンみたいな事をして遊んでるんですけど(笑)。自分が演奏した録音を後から再生した時にもチューナーが働くので、吹いた後からピッチの確認が出来るのも素晴らしいですよね。

T:あとはリピート機能!フレーズを作る時やコピーしたい時に本当に便利です。練習したい音源を入れて、リピート機能使って難しい箇所の4拍だけをリピートさせて練習、って事も出来ますし。聴いて録音して確認してって事がすごく簡単に出来る。

確かに、耳コピをするのにも便利ですね。その使い方は面白いですね。合計20分・100トラックも入るから、1~2曲くらいは丸々入れる事が出来ますし、リピート機能を使ってソロの練習とか、自分の演奏を録音して聴き直すとか、TMR-50さえあれば出来るっていうのはすごいですよね。

T:あと、機械音痴の僕が5分触ったら使いこなせるっていう高い操作性もありがたいです(笑)。使い勝手が本当に良いです!

ちなみに練習方法が同じっていう事は、目指しているプレイヤー像も似ているんでしょうか?その辺りを聞きたいんですけど、プレイヤーとして一番大切にしている事って何ですか?

N:僕はやっぱり音色なんだと思いますね。音色が全てってわけではないですけど、ピッチやリズムよりも、まずその人の音色が耳に入ってくると思います。やっぱりアカデミックにというか、勉強として管楽器をやると、リズムやピッチに傾きがちなんですけど、本当はそこじゃないというか。音色があってこそだと思うんですよね。それを忘れないように練習していけば、すごく良いミュージシャンになれるんじゃないかと思って練習しています。

辻本さんは?

T:逆の事を言うかもしれませんけど、僕はやっぱりリズムが一番最初だと思ってるんですね。特にカルメラを始めてから思った事ですけど。

なるほど、音色とリズムで意見が分かれたわけですが、だがしかし(笑)!サウンド・バック機能でチューニングし、レコーダー機能で音色を確認し、メトロノームでリズム感を鍛えると、その全てが出来るのが、この~?

T:TMR-50(笑)!

N:チェケナ~ウ(笑)!

一同:(爆笑)!

今日はありがとうございました!!

 

TMR-50を語る。〜 辻本美博 (sax, カルメラ) & 永田こーせー (sax, EMPTY KRAFT) 〜

EMPTY KRAFT

2006年溝の口を拠点に、“一から作ること、「白紙」=EMPTYから「作る」=KRAFT”をテーマにしたダンスチームEMPTY KRAFTを結成。その後2011年都内で行ったストリートライブなどを経てバンド・メンバーが加入し、ダンサーとバンドの境目のない大所帯 DANCE PERFORMANCE BANDととして新生EMPTY KRAFTが始動。ブラックミュージックを主体としたサウンドを柔軟に織り交ぜながら型やジャンルにはまらない自由な空間を創造し、ダンスと音楽、またパフォーマーとオーディエンスがより一体となれる唯一無二の新しいPERFORMANCEを展開するダンス・エンターテイメント集団である。

EMPTY KRAFT│パフォーマンスバンド
 

カルメラ

浪速のエンタメ系インストジャズロックバンド。あらゆるジャンルを、時に楽しく時に切なく、大阪ライクにクロスオーバー。全身全霊で望むクールでハッピーなライブパフォーマンスは必見!2007年に本格活動開始。DJ須永辰緒やSOIL&"PIMP"SESSIONS、ジャズシンガーakikoらとの共演や、大阪BIG CATでの超満員ワンマンライブの成功など、国内JAZZシーン早々たる面子の中での存在を遺憾なくアピール。大型野外フェスなどの出演を重ね、今最も注目されるバンドである。

カルメラ official website