0123456789
list icon
list icon

Features

Artists

2014.04.01

ASA-CHANG「WAVEDRUM」インタビュー

「もはやWAVEDRUMはWAVEDRUMで唯一無二の楽器として確立されていますから」

パーカッショニスト/ドラマー ASA-CHANG。1985年に東京スカパラダイスオーケストラを結成し、パーカッション兼バンド・マスターとしてデビュー。1993年の脱退後は数々のアーティストのセッション・ワークに参加しつつ、自身の主宰するASA-CHANG&巡礼やASA-CHANG&ブルーハッツなどで幅広い活動を行う、日本を代表するパーカッショニスト/ドラマーの一人である。 そんな彼は、コルグが1994年に発売した初代WAVEDRUMのヘビー・ユーザーでもある。自身のライブ・セッティングの中にも積極的にWAVEDRUMを導入し、幾多のステージでそのサウンドを響かせてきた。そしてそれは2009年発売のダイナミック・パーカッション・シンセサイザーWAVEDRUMも同様であり、鮮やかなブルーにカラーリングされた新世代WAVEDRUMが、彼のドラムセットから覗いて見えるのがお分かり頂けるだろう。 今回のインタビューでは最新機種のWAVEDRUM Miniにも話は及ぶ。「WAVEDRUMの魅力とは?」…WAVEDRUMを長く第一線で使い続けてきた彼にしか語れない、貴重なコメントを伺った。

掲載日:2011年7月20日

初代WAVEDRUMを含むASA-CHANGの機材セッティングの一例

ASA-CHANGさんは、1994年発売の初代WAVEDRUMからのユーザーでもありますが、WAVEDRUMを使い始めたきっかけというのは。

ASA-CHANG : 発売前夜かな?「面白いものがあるから叩いてみない?」と紹介を受けて、WAVEDRUMの存在を教えてもらったんですよね。

実際に叩いてみて印象はいかがでしたか。

ASA-CHANG : どんな楽器でもそうなんですけど、最初は「どうするんだろう、これ?」っていう、雲をつかむような感覚がありましたね。これはいわゆるアコースティック楽器を触るときにも同じく感じるもので、それを使っていくうちに自分と相性の良いもの・悪いものが自然と分けられていくんですよ。そういう意味では、このWAVEDRUMは自分の肌に合ったんでしょうね。

それまで電子楽器そのものに対する馴染みはあったのでしょうか。

ASA-CHANG : ありましたよ。YMO時代に”シンドラ”と呼ばれていたものも使っていましたし。高橋幸宏さんの「ビュビュビュ~ン」にも影響を受けてね。でも当時は値段が高かったから、お金持ちしか持ってなくて。飽きたらこっちに回してもらったりしてね。電子音ってものに元々すごく興味もあったので、ライン・アウトを各チャンンネルに付けてみたり、色々やってましたね。

そういった電子楽器と、電子パーカッションであるWAVEDRUMを比較してみて、いかがでしたでしょうか。

ASA-CHANG : 皮を使ってるし、今までの電子楽器とは違うなと思いました。それにWAVEDRUMをずっと使っていたら、アコースティック楽器とWAVEDRUMの使い勝手の差が完全に無くなったように感じた瞬間がふとあって。無理なく、WAVEDRUMもアコースティック楽器同様の感覚で使えるようになったんですよ。そしたらもう手放せなくなってしまったんです。まあはっきり言って現行のWAVEDRUMと違って初代WAVEDRUMは凄く重かったし、今考えると大変だったんですけど、どんな現場にも持って行ってた気がします。

それでは、現行のWAVEDRUMを初めて触ってみた時はどうでしたか。

ASA-CHANG : 最初、その軽さにびっくりして、中に何にも入っていないじゃないかって。なんだこの軽さは!みたいな感じで。初代の重さに慣れすぎちゃってましたからね。色々模索しながら楽しんで今も使ってます。

内蔵の音色についてはいかがでしたか。

ASA-CHANG : 初代のWAVEDRUMとはまた違ったキャラクターですよね。初代には初代の音色の良さがあって、それは現行のWAVEDRUMにも然りです。

初代のWAVEDRUMと比較してみて、良くなったと思われるポイントはどこでしょうか。

ASA-CHANG : 機能の部分でも色々あるけど、とにかくこんなに軽くて、ソフトケースに入れてどこへでも運んで演奏できちゃう手軽さが大きな魅力ですね。皮とリムだけじゃなくて、筐体のフレーム全部がセンサーになっていて、ツマミの部分以外はどこでも音が出せちゃうところとか、面白いですね。あとは、やっぱりポップですよね、音色とかも。

音色は色々な種類のものをお使いになるんですか。

ASA-CHANG : 使いますね。特にフレーム・ドラム系の音を使います。例えばWAVEDRUMで言う所のレクっていう音。あまりのリアルさにびっくりしちゃった。あと、実在しない楽器や創作的な音のセンスとかがすごく面白かった。しかも、例えばタブラとかそうですけど、本来なら曲間にチューニング時間が必要な楽器なのに、その必要がなく一番ベストな状態でポンと音を出せるのも魅力ですよね。エスニック・パーカッションにありがちなメンテナンスの大変さも考えなくて良いし。あとは奏法を勉強しなくても、楽しい演奏ができちゃうのも魅力ですね。それにちょっとしたルール…例えば「太鼓はこういうお国のもので、こういう音楽に使われるもので」っていうのを知っていると、WAVEDRUM自体の反応も当然に良くなるんですよ。例えばレクなんか、別に「レク」って名前を知らなくても演奏できるじゃないですか。でも「レク」の名前や奏法なんかを知っている人が叩けば、それ相応にさらにハイレベルな演奏ができるんですよ。単純に触って「あ~楽しい」っていうだけじゃなくて、もっと深く演奏する人にも対応してくれるのがすごい。