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2013.07.31

TOWA TEI「MS-20 mini & volca」インタビュー Powered by CINRA.NET

音だけでなく、デザイン面でも
厳選されたお気に入りの機材たち

長野県のとある駅から車でおよそ15分、緑の木々が生い茂る森の中にTEIさんのプライベートスペース、VUスタジオはあります。長野に引越してくる前は、東京・三軒茶屋にスタジオを構えていたTEIさん。窓からは向かいのビルの窓や壁しか見えないような環境だったので、暇さえあればサウナに逃げ込んでいたそう。そんな生活に限界を感じ始め、「ほぼ緑しかないような場所で音楽を作りたい」と思うようになっていました。喘息気味だったお子さんも、ちょうど小学校へ上がる頃というのもあって、2000年に引っ越しを決意。越してすぐに、お子さんの喘息も治ったそうです。

壁一面のガラス窓から燦々と太陽が差し込む40畳ほどのスタジオには、大きなソファとテーブルが置かれ、その背面には膨大な量のアナログレコードやCDが陳列されています。作業スペースはコンパクトにまとめられ、きらびやかにカスタマイズされたMoog Minimoog Voyagerをはじめ、白いスピーカーGENELEC 8040Aなど、機能性だけでなくデザイン面でも目を引く、厳選された機材ばかりが並んでいました。そんなTEIさんに最近のお気に入り機材を伺ってみました。

MS-20 mini

まず最初に挙げていただいたのが、35年たった今も語り継がれるアナログシンセの名機MS-20を復刻した、MS-20 miniです。先ほどのインタビューでお話いただいたとおり、TEIさん自身、最初に購入したシンセサイザーが同系機種のMS-10。その兄弟機種の復刻モデルであるMS-20 miniにもひとかたならぬ思い入れがあるのでしょうか?

TEI:当時、アナログシンセサイザーのエントリーモデルといえばMS-10で、L字型のルックスにたくさんのツマミ、ケーブルを使ってパッチをつないで音を作っていけるところが気に入っていました。やはり最初にYMOを見たときに、マニュピレーター(シンセサイザーのプログラミング担当)の松武秀樹さんが、タンス(大型モジュラーシンセサイザー「moog III-c」の通称)をいじっていたのが強烈な印象だったんですよね。このMS-20 miniの音はモーグっぽいけど、よりキメ細かいなというのが僕の印象です。LFOのかかり具合も鋭く、シンセベースや飛びもの系の音に向いていますよね。次のアルバムで使ってみたいなと思っています。

MS-20 mini 製品情報はこちら

volca keys / volca bass / volca beats

まだ最近手に入れたばかりという、KORG「volca」シリーズは、シーケンサーを内蔵したリードシンセ、ベースシンセ、リズムマシンの3モデル。電池駆動も出来るというコンパクトなデザイン、リアルタイムに音を変化させていけるツマミ、プロも唸る本格的なアナログサウンドが特徴です。電源を入れた瞬間から遊ぶように直感的な音作りが楽しめます。

TEI:僕、機材を買ってもまったく説明書を読まないんですよ(笑)。だからvolcaみたいに箱から出して、すぐに本格的に音を出せるような機材が好きなんです。音でいえば、特にvolca beatsはアナログシンセならではの芯のある太いサウンドと、ローファイで荒れた80年代っぽいPCM音源のサウンドの両方が再現されているのが気に入っています。アゴゴやクラップの音色をツマミでコントロールしたとき、音の可変幅が予想以上に広くて楽しいんですよ。

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いかがでしたでしょうか? この日のインタビューは、TEIさんのプライベートスタジオ内だけでなく、部屋の外に取り付けられた広いデッキの上でも行われました。大きなパラソル付きのテーブルを囲み、時折吹く風の涼しさと、終始聞こえる様々な鳥のさえずり、やわらかく降り注ぐ木漏れ日を感じながらのひとときに、思わず時が経つのも忘れてしまいそうでした。長野の研ぎ澄まされた静けさと、東京のむせかえるような喧騒。その両方を行き来しているTEIさんだからこそ、あの心地良くも刺激的なサウンドを生み出すことが出来るのでしょう。この部屋からこの先、生み出される音楽がどんな展開を辿っていくのかとても楽しみです。


上記以外のお気に入り機材についてはCINRA.NETでお読み頂くことができます。